パパたちに任せなさい…〈年金月29万円・貯金4,000万円〉70歳元公務員、溺愛する35歳ひとり娘に「新築購入資金」を援助→税務署から告げられた“まさかの事実”に悲鳴【税理士の助言】

パパたちに任せなさい…〈年金月29万円・貯金4,000万円〉70歳元公務員、溺愛する35歳ひとり娘に「新築購入資金」を援助→税務署から告げられた“まさかの事実”に悲鳴【税理士の助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

親であれば、愛する子や孫になるべく多く資産を遺したいと思うもの。そのようななか、金銭的に余裕のある家庭で活用されているのが、住宅購入を目的に最大1,000万円までが非課税となる「住宅取得等資金の贈与」です。ただ、この制度を利用する際には、注意しなければならない点がいくつかあります。具体的な事例をもとにみていきましょう。現役税理士でCFPの宮路幸人氏が解説します。

元公務員・生真面目なAさんが溺愛する「ひとり娘」

元公務員のAさん(70歳)には、5歳年下の妻Bさんと35歳になる娘のCさんがいます。

 

夫妻はひとり娘のCさんを小さいころから可愛がっていました。なかでも、AさんとCさんは仲がよく、Cさんに家族ができてからも、孫とAさん・Cさんの3人で遊びに出かけることもよくあったそうです。

 

そんなA夫妻は65歳以降、月29万円で生活しています。堅実で財布のひもが固いA夫妻は、年金生活に入っても少しずつ貯金を増やし、現在の貯金残高は4,000万円ほどです。

 

「うーん、預金がこれだけあると、不動産とあわせてかなりの相続税がかかってしまうかもしれないな……」

 

将来のことを考えAさんが頭を悩ませていたところ、実家に遊びに来たCさんから相談がありました。

 

C「ねえパパ? 夫と相談してね、そろそろ家を買おうと思っているんだけど」

 

Cさんは実家近くの賃貸マンションで夫と息子との3人暮らし。子どもが大きくなってきたことから、マイホームを検討しているとのこと。

 

B「それはいいわね。そろそろ自分の家があってもいい年だし。……ねえお父さん、Cちゃんたちに少し援助してあげたら? 私たちじゃこのお金を使いきれないでしょう」

 

A「お母さん、ナイスアイデアだ! おいC、頭金の一部はパパたちに任せなさい」

 

予想以上に乗り気の父にCさんは少し驚きましたが、「ほんと? ありがとう、助かる!」と素直に喜びました。

 

Aさんが積極的に住宅購入費の援助を申し出たのには、理由があります。Aさんが公務員時代の同僚と飲んだ際に節税対策の相談をしたところ、同僚が次のように教えてくれたのです。

 

「娘さんが家を建てるときに援助してあげなよ。たしか、自宅購入のための贈与なら最大1,000万円まで非課税だから。死んだあとにお金をあげても喜ぶ顔は見られないけど、生前贈与なら娘の喜ぶ顔も見られるし、お得じゃないか?」

 

そんな折、タイミングよく娘からマイホームの相談を受けたAさんは、これまでの贈与に加えて「住宅取得等資金贈与の非課税枠」を使って、その年Cさんに1,110万円の贈与を行いました。

 

「パパ、ママ、ありがとう。ふたりの子どもでよかった……大好き!」

 

Cさんが大喜びしたのはもちろん、Aさんも「こんな大きな金額を非課税で贈与できるとはな。娘も大喜びだし、同僚には改めてお礼を言わなくちゃ」とご満悦。

 

しかし、A夫妻は「致命的なミス」を犯していたのでした。

 

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<参照・出典>
・国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm)

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