リスク分散の重要性が広く知られるようになり、今や富裕層の資産防衛において、プライベート・エクイティなどのオルタナティブ投資はなくてはならない投資戦略である。一方で個人投資家には参入しにくい資産クラスでもあった。そんな状況を打破しようと、日本初「オルタナティブ投資プラットフォーム」を展開するのがLUCAジャパン株式会社である。オルタナティブ投資を身近なものにしようと加速する同社が、今、注目する投資戦略とは? 共同創業者でありCEOのシデナム慶子氏に話を聞いた。

業界で注目される日本初「オルタナティブ投資プラットフォーム」

まず、オルタナティブ投資について確認しておこう。オルタナティブ(Alternative)とは「代替」を意味し、公開市場で取引される株式や債券である「伝統的資産」に対し、それ以外の選択肢を「オルタナティブ投資」としてまとめられる。

 

投資家から資金を集め、さまざまな金融商品に投資する私募型の投資ファンド「ヘッジファンド」、非公開企業の株式に投資する「プライベート・エクイティ投資」、公開市場以外でのローン債権に投資する「プライベート・デット(クレジット)投資」、不動産やインフラへの投資、アートや高級時計などの現物資産も「オルタナティブ投資」である。

 

LUCA ジャパン株式会社共同創業者、CEOシデナム慶子氏
LUCA ジャパン株式会社共同創業者、CEOシデナム慶子氏

 

「昨今、リスク分散の重要性が強く認識されるようになり、プライベート・エクイティを中心としたプライベートアセットの世界市場規模は毎年10%以上の成長を記録しています。公開市場との相関関係が低いオルタナティブ投資を組み入れてリスク分散を図ることは、今や資産防衛において必須事項といえるでしょう」

 

シデナム氏によると「ポートフォリオのなかでオルタナティブ投資が占める割合は15~20%程度が適正値」だという。しかし、オルタナティブ投資は投資判断に必要な情報へのアクセスが難しいという一面をもつ。そのため、プロの投資家であるファンドマネージャーに資金を預けるファンド投資が一般的だ。

 

「オルタナティブ投資ではファンドマネージャーのパフォーマンスに大きな差があり、優れたファンドマネージャーを選ぶことが重要です」

 

しかし、オルタナティブ投資は仕組みが複雑でリソースが限られているため、効果的な戦略を構築できるファンドマネージャーが少ないのが現状だ。そこで、シデナム慶子氏がCEOを務めるLUCAジャパンは「日本初のオルタナティブ投資プラットフォーム」を通し、世界基準の優れた優良ファンドを幅広い層に提供しようとしている。

 

「現在、プラットフォーム上では『口座開設』から『投資対象の詳細情報確認』、『資料ダウンロード』、さらに『運用レポーティング』へのアクセスが可能です。投資判断となる情報へのアクセスが難しいオルタナティブ投資ですが、本プラットフォームにログインすれば、いつでもどこでも情報を確認できます」

 

国際的な経験を持つ専門家が揃うLUCAジャパンは、投資家からの手数料によって成り立っている。投資家が資産を増やすことが同社の成長にも寄与するため、「売って終わり」という考え方は存在しない。「私たちと投資家の皆様は、“同じ船に乗っている”というイメージをもっている」とシデナム氏。常に投資家の視点で投資対象を見極めることを重要視している。

 

LUCAジャパンが掲げる新戦略とは?

通常、プライベート・エクイティ・ファンドは10年程度のロックアップ期間が定められていることが多く、途中解約のできないクローズドエンド型が基本だ。投資資金が固定されることを嫌う投資家もいるだろう。一方で昨今、毎月または四半期ごとの申込と償還のサイクルのあるオープンエンド型のファンドも登場している。この流れを「より多くの投資家にオルタナティブ投資を取り入れた資産防衛を提案できる」と期待する。

 

また、シデナム氏が注目しているのは、プライベート・エクイティの「セカンダリー戦略」である。セカンダリーは、リミテッド・パートナーが保有するプライベート・エクイティ・ファンドの持分を別の投資家が購入する取引のことで、プライベート・エクイティ市場における二次取引を指す。

 

 

「プライベート・エクイティ・ファンドは非上場企業に投資を行い、企業価値を高め、その企業を売却して収益を得ることを目指しますが、ファンドのライフサイクルの初期段階ではキャッシュフローがマイナスとなり、その後、キャッシュフローはプラスに転じる傾向が見られます(図表1)。つまりセカンダリー市場に投資する戦略では、投資期間の後半の持分を取得することで、早期に分配金を受け取ることを可能にします。まるでタイムマシーンに乗るような感覚です」

 

【図表1】プライベート・エクイティ・ファンドのライフサイクルのイメージ
【図表1】プライベート・エクイティ・ファンドのライフサイクルのイメージ

 

またセカンダリー戦略では、異なるビンテージ年、業種、地域に投資をする複数のファンドを組み入れ、多様なポートフォリオを提供することで、リスクを分散する手段になるという。さらに初期のリミテッド・パートナーが支払った手数料の一部を回避できるため、コスト削減も可能だ。

 

「昨今の金利の上昇、そして高止まりを受け、セカンダリー市場は拡大し、市場価値を下回る割安な価格で購入できるファンドも増え、投資家にとっては魅力的な環境といえるでしょう(図表2)」

 

【図表2】セカンダリーマーケット規模
【図表2】セカンダリーマーケット規模

 

一方で、魅力的なセカンダリー市場がいつまで続くかは不透明。さらにトランプ大統領の就任によって、投資環境はさらに混迷を極めるといわれる。だからこそ「セカンダリー戦略」に注目すべきは今が“ベスト”であり、もしかすると“ラストチャンス”かもしれないのだ。

 

「オルタナティブ投資をもっと身近に」と掲げるLUCAジャパン。資産が固定化されるという懸念から解放される「オープンエンド型」のファンド、早期に分配金を受け取ることを可能とする「セカンダリー戦略」は、いずれも参入障壁の高かったプライベート・エクイティ投資を多くの層に訴求するものになるだろう。2月26日に開催するセミナーでは、この「オープンエンド型」「セカンダリー戦略」に注目したした新しいプライベート・エクイティ・ファンドの情報も解禁される。またとないチャンスに期待したい。