今回は、実例を見ながらローソク足の具体的な読み方を解説します。※本連載は、株式アナリストとして知られる秋津学氏の著書、『勝率9割5分を目指す 株価チャート黄金練習帳』(毎日新聞出版)の中から一部を抜粋し、株式投資で勝つためのチャート分析のポイントを具体的にご紹介します。

陰陽のローソク足を判断する「3つの練習問題」

●練習問題①

16年8月22日の急騰を咎められて上下ヒゲつきの陰線出現後、急落。やっと値を戻したものの、前回の上値を越えられず、陰線が2連。さて、ここで売りか、買いか、あるいは様子見ですか。

 

[図表1]

 

 

<解答1>

「売り」が正解か。直前2線の組み合わせは、陰・陰の「たすき線」。すでに5日線を割っており、2線の下げ勢い(↓↓)にトレーダーの関心が向いている。25日線を窓空けで割ることも予想しておきたい。

 

 

 

●練習問題②

10月3週目に下ヒゲ長い小陰線と陽線の「つつみ線」が出現後、快調に上げてきたカシオですが、一転、陽・陰の「つつみ線」が出現しました。この組み合わせをもとにこの局面をどう判断しますか。

 

[図表2]

 

 

<解答2>

「売り」が正解。高値圏に陽・陰の「つつみ線」が出た上に、大陰線。翌週は窓空けでさらに陰線を立て、その翌週も窓空けの陰線が立った。急落中に大出来高があり、実際に大陰線・大陽線のたすき線出現で反発します。

 

 

 

●練習問題③

7月下旬から急降下した後、しばしば起こり得るボックス圏の動きに入りました。さらに一段安くなるのか、それとも盛り返すのか、陰陽の足の組み合わせで先行きを読みましょう。

 

[図表3]

 

<解答3>

「様子見」が正解。ボックス圏が持続中で、一段下げるか、上値ラインをブレークアップするか、直近の陰・カラカサの「はらみ線」では、判断ができません。株価が上か下へ放れたチャンスを待つべきです。

 

「毛抜き天井」「毛抜き底」とは?

<イチ押し戦術①>毛抜き天井・毛抜き底のモデル

 

「毛抜き天井」とは、高値圏で、大陽線と陽線の2本の高値がほぼ同じ値段で並んでいる形で、2本目がこの値段に肩を並べるのが精一杯と理解され、反落するケースが多いのです。2本線の並びが、「毛抜き」という道具に似ているからこの名があります。

 

[図表4]

逆に「毛抜き底」は、安値圏で、大陰線と陰線の2本の安値がほぼ同じ値段で並んでいる形で、2本目がこの安値以下に落ちないということで、底入れ感が広がって、次第に反発していくというふうに理解され、買いシグナルとみなされます。

 

[図表5]

株価の位置や状況に注目しつつ判断

高値圏・安値圏に出現する2本のローソク足の組み合わせを見るだけで、次の一手の判断がかなり正確にできます。図表1のSUMCOの日足チャートでは、25日移動平均線を割っても、再び上昇に転じる場合には、「買い」のシグナルである組み合わせが出現しています。

 

図表2のカシオのチャートでは、大陰線の後の株価の動きに注目。視覚的にインパクトがある大陰線は、週足だけに一層迫力があり、2月の大陰線と大陽線の「たすき線」でも大きな戻しを生じさせ、5月の大陰線では、さらに一段下へ下落を導いているようです。

 

一方、図表3の関西電力のケースは、ボックス圏という狭い範囲でのもみ合いの中で生まれたシグナル「はらみ線」ですから、勢いをつけるシグナルとはなり得ません。もうしばらく様子見をして、買いなら25日線を突破か、空売りなら、数日様子見をして、841円の下値ラインを割るのを待つべきでしょう。

 

このように、陰陽のローソク足を判断するときは、株価の位置や状況に注目しつつ、理想的にはこれから学習するさまざまなシグナルを総合的に読んで、投資行動に結び付けるべきです。

勝率9割5分を目指す 株価チャート黄金練習帳

勝率9割5分を目指す 株価チャート黄金練習帳

秋津 学

毎日新聞出版

株価チャートによる儲け原理は、株をできるだけ安値で買って、高値で売る、ということに尽きます。そのために、チャートが示唆する売買シグナルや株情報、市場の地合い、企業業績などで判断します。そして、配当やファイナンス…

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