「時間の経過」を無視していては、相場は読めない
チャートを理解する上で大事な概念に「期間」があります。波動、値幅、日柄は、みな、この「期間」の概念によって生じます。チャートの期間には、人間(トレーダー)の心理や、イベント、経済政策などあらゆるものが織り込まれています。しかし、トレーダーは負の心理(強欲、傲慢、不安、失望、錯覚など)に多大な影響を受け、その期間中、正しく判断や行動をとれません。
考えてみれば、病気は日にちを経過することで退院・全快しますし、何日かの潜伏期間があればこそデング熱は発症します。大人びていても、18歳にならないと選挙権はなく、大学は4年間学び、医師は2年のインターン期間を要し、睡眠が日々2時間では、とても体は持ちません。
天才投資家・ギャンが人間の時間的サイクルや天文学の時間や方向を相場理解に役立てているように、私たちが、この時間の経過を無視していては、期間に支配された相場を読めないのです。
適切な「時間・期間」の経過で出来上がるチャート
こうしたことから、次のように理解することができるでしょう。
何事も適切な時間・期間が経過して、チャートが出来上がります。ローソク足のつながりという観点から単純にギャンがとらえた株価の動きも、適切な期間を経て生まれたわけです。ひと月かけて、ひとつの山ができるAという銘柄が、ときには半月かけてひとつの山を作れば、当然、期間中に急ぎ過ぎた咎めの傷ができているはずです。
私たちは、期間の適切性を欠いた事態には、下降に転じたとき、通常より「下げのきつさから、下げ止まりはもっと下か」というふうに、先をしっかり読むことができるようになります。
「秋津式8の法則」「暴騰後三日待て」などの技も、結局のところこうした期間の概念からつくられた原則です。日足で12日~14日でトレンド反転が多いようですが、そういう経験則も期間の原則とパターンの原理の合体だと思います。
株価は上げるべきときに上がり、下げるべきときに下げる。たぶん、この自明の理のようなチャートの原則が、株式投資で一番大事な事柄なのだと思います。