抵抗線と支持線を引くと見えてくる「もみ合い放れ」
全快に引き続き、チャートを読み解くために重要なパターンを紹介します。
<パターン③>もみ合い放れ
もみ合いの後、上か下に株価が動き出すことを「もみ合い放れ」といいます。もみ合い放れの代表的なパターンは、ペナント型とフラッグ型です(図表1参照)。いずれも株価はN字型、あるいは、逆N字型をつくり、抵抗線・支持線を突破していきます。
ペナント型は、二等辺三角形をなし、上げ下げの幅をだんだんと収束していき、やがて、上か下に株価が放れていくものです。ペナント型の上げ下げをもう少しシャープな角度にしたのが、ウェッジ型です。フラッグ型は、もみ合い圏で、高値と安値を結ぶ線が平行なものを指し、その線を突破したときが、この型の上放れ、下放れとなります。
しかし、上にしろ、下にしろ、放れた後はどうなるのでしょうか。基本的にいえることは株価はN字型・逆N字型の軌跡を残し、新しい相場が作られていくということです。必ずしも、共通のパターンがあるわけではありませんが、およその目安としては、放れる前の相場の上げ下げ程度の値幅は、新しい相場でもつくられます。
[図表1]
<POINT>
ペナント型にしろフラッグ型にしろ、もみ合い放れは、実際にチャートにその型をなぞり、抵抗線と支持線を引いてみると見つけやすい。
ぜひとも記憶しておきたい天井と底の典型的パターン
<パターン④>天井と底
天井と底に出現する典型的なパターンは、やはり、売買ポイントを探すために、ぜひ記憶しておいたほうがよいでしょう。その理由のひとつは、他の投資家もそれを手本にし、同様の投資行動をとるからです。多くの人が売り行動をとっているのに、初級者のあなたが買い向かっても、負けるのは明らかですから、基本的な売買ポイントはきちんと判断できるようになりたいものです。
ただし注意したいのは、図示されたチャートのパターンは、結局過去の軌跡にすぎず、売買のポイントを判断するときは、パターンが完全にできあがる前にするのが理想的です。ですから、典型的なパターンをおぼえるべきです。
株価が動くにつれ、少しずつ、はっきりとパターンが出現してくるのをちょっと先取りして、自分のイメージの中で、将来のパターン完成を脳裏に描くと、しばしば人よりも早く売買ポイントを把握できます。
天井と底の基本的パターンは、4種類あります。
1.三尊と逆三尊
仏像が3体並んでいるように見えるので、「三尊」という。三尊および逆三尊の支持線・抵抗線を割ったり、突破した後の上げや下げの目標値は、少なくとも最高値や最安値と支持線・抵抗線との値幅と同じくらいを見込める。
2.二重天井と二重底
一度目の天井通過後に折り返した株価のラインが、心理的な下支えになっているので、このラインが、一般的には、売りのポイントとなる。二重底はその逆。
3.だんご天井となべ底
だんご状態にもみ合って、その後下落を始めるという天井の形では、下放れた位置が、売りポイントとみなる。
4.とんがり天井とつらら底
急激な上げ下げに対応するのは、至難の業。初級者には手に負えない。上げ下げの角度が急すぎる場合は、天井や底の確認よりも、過熱感を測る、RSIなどのオシレーター(技29参照)が、売りや買いのシグナルを出したときに、売り・買いを入れても、初級者に失敗は多いようです。
[図表2]
<POINT>
天井をつけて急落した株を値頃感で買い向かうな。逆に底を打って急に戻り始めた株を値頃感で売り向かうな。天井と底は、他の投資家との心理戦となり、すばやい判断を要求されるため、初級者には難しすぎる。