今回は、株価が動くシグナル「明星・三兵・三法」の読み解き方を見ていきます。※本連載は、株式アナリストとして知られる秋津学氏の著書、『勝率9割5分を目指す 株価チャート黄金練習帳』(毎日新聞出版)の中から一部を抜粋し、株式投資で勝つためのチャート分析のポイントを具体的にご紹介します。

「宵の明星」は売り、「明の明星」は買いのシグナル

ローソク足が3本(三川:さんせん)の組み合わせになりますと、さらに、相場読みが正確性を帯びてきます。従って、出現後、株価が動くシグナルとみなせます。

 

①明星(高値圏、安値圏に出現すれば注目)

 

●宵の明星(よいのみょうじょう)

 

大陽線、空(ギャップ・窓)、小さな陽線か陰線、下げて空、そして大陰線という3足が立つ形が天井圏に出ると「売りのシグナル」。空が出現後、小さな陽・陰線の代わりに、「上ヒゲの長いトウバ」や、「上ヒゲの長い陰線」が出現したら「宵の明星」に準じ、「売りのシグナル」と目先判断する。

 

●明の明星(あけのみょうじょう)

 

これは「宵の明星」の逆の形。まず大陰線を描き、下に空、小陽線か陰線、次に上げて空、大陽線が立つ場合、この三川が底値圏に出ると、目先の「買いシグナル」。

 

星のような陽・陰線の代わりに、「下ヒゲの長いトンボ」や「下ヒゲの長いカラカサ」が出現した場合も「明けの明星」に準じて、目先「買いのシグナル」と判断。このように「空」は相場判定に非常に重要なシグナルで、「空」は「窓」と呼ばれるように、「窓」は開かれた方向に相場が動き出す、つまり株価の勢いがつき始めたこと示唆するシグナルだから。

「黒三兵」が現れたら売り姿勢をとる

②三連陽線・陰線(ローソク足3本が並ぶ場合)

 

●赤三兵(あかさんぺい)

 

長い下降トレンドの末に、底で3本の小陽線が並ぶ形。上げトレンドへ変化したシグナルとして理解されます。この識別法としては、

 

A 長く下降トレンドが続いた後に出現していること、

B 出来高をともなって、小陽線が3つつくられること、

C 3本目が立つ直前に上値を圧迫するような出来高がないこと、など。

 

●黒三兵(くろさんぺい)

 

別名「三羽ガラス」。「赤三兵」とは逆に、天井と思われる株価の高い位置から、大きな陰線が3つ続けて出現する形だ。これが現れると、下降トレンドに入ったシグナルと考え、「売り」姿勢をとることが基本だ。

下げ三法を見つけたら売り増しのポイント

③三法(さんぽう:上昇・下降トレンド途上に出現)

 

●上げ三法

 

上昇トレンドの途中で、大きな陽線が立ち、そのあと3日ほど足踏みをして、その直後一気に陰線で下げた分を抜く大きな陽線が立つ。これが「上げ三法」で、3本の陰線の時期に再上昇のエネルギーをたくわえてきた、と読む。

 

●下げ三法

 

上げ三法の逆。下降トレンドの途中に、3日ほど陽線が立って戻したように見えるが、すぐまた大きな陰線ができてしまう形だ。依然下降トレンドだから、ちょっと戻したあたりが、売り増しのポイントになる。

 

[図表]三本ローソク足のライフ・サイクル

▲ 底値圏から、「明けの明星」→「赤三兵」→「上げ三法」→「宵の明星」→「黒三兵」→「下げ三法」という具合にめぐって、再び底値圏に戻るというコースをたどる。 

勝率9割5分を目指す 株価チャート黄金練習帳

勝率9割5分を目指す 株価チャート黄金練習帳

秋津 学

毎日新聞出版

株価チャートによる儲け原理は、株をできるだけ安値で買って、高値で売る、ということに尽きます。そのために、チャートが示唆する売買シグナルや株情報、市場の地合い、企業業績などで判断します。そして、配当やファイナンス…

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