インターネット空間を自由に漂う「.bit」ドメイン
ネームコイン(Namecoin)とは、ビットコインにDNS(Domain Name Service)機能を付加したコインです。DNSとは、インターネットのウェブサイトとURLを紐付ける仕組みと言えばわかりやすいかもしれません。例えば、インターネット上の住所を表すIPアドレスのまま表現すると「http://202.12.30.144/」となりますが、これを「http://google.com」のように私たちでも理解できる名前と紐付ける仕組みのことです。現在、ネームコインでは「.bit」というドメインを使用しています。ドメインの取得には、ネームコインを支払う必要があります。
通常のDNSと異なる点として、「.bit」を含むサイトURLをただブラウザ上に入力しても閲覧することができません。閲覧するためには、Firefoxなどのブラウザ用に公開されている専用のプラグインを追加することで閲覧できるようになります。
この「.bit」ドメインは、インターネット上のポリシーなどの取り決めを行っている米国の非営利組織「ICANN」の管理下にはありません。見方を変えると、良くも悪くも本当の意味での自由なインターネット空間と言えるかもしれません。
ネームコインの構想については、2010年9月の段階からビットコインに関するフォーラムである「Bitcointalk.org」上で、「BitDNS」として議論がなされていました。「Bitcointalk.org」が、このプロジェクトに報酬を出すことを発表し、2011年4月にVincedというGithub上に公開されました。
また、ビットコインと同じシステムを用いて同時にマイ二ングができる「マージマイニング」という特徴を持っています。
「マージマイニング」とは何か?
マージマイ二ングとは、暗号通貨のネットワークを構成するノードが報酬を得るために行うマイニング作業を、複数のブロックチェーンで同時に行うことです。同じ暗号化方式をとっているブロックチェーン同士であれば、計算方式が同じであるため、計算の仕組みを使い回すことができます。
例えば、ビットコインとネームコインのように暗号化方式が同じ暗号通貨ペアがあるとします。ビットコインのマイニング作業のために行った計算結果を、その都度ネームコインのマイニング作業の計算結果として利用していきます。
そうすることで、ビットコイン側では計算結果が適合しない場合でも、ネームコイン側では適合するといったことが起き、ネームコイン側で報酬を支払うことができます。そのため、マイニングで報酬を得ているマイナーにとってメリットがあります。
ネームコインは、DNS機能の他にも様々な使い方が模索されています。
2013年4月にNameIDとOpenIDという機能がリリースされました。NameIDとは、個人情報をネームコインのブロックチェーン上で認証する機能です。OpenIDとは、そのネームコインによる認証を用いて、既存のWEBサイトへのログインを許可する機能です。
また2014年5月には、「Monegraph」というネームコインのブロックチェーンを用いて、オンライン上のデジタル作品をクリエイターのツイッターアカウントと結び付け、著作権を保護するプロジェクトも動き出しました。
【基本情報】
名称:Namecoin
呼び方:ネームコイン
コード:NMC
開発者/開発組織:Vinced
暗号化方式:SHA−256
コンセンサスアルゴリズム:ProofofWork
承認目安時間:約10分
上限発行量:2100万