1グラム1万5,000円超え…金価格、最高値更新
“金価格、最高値更新!”──日々ニュースをチェックしている投資家の皆さんなら、最近よく目にするフレーズではないでしょうか※。2025年に入り、金の国内価格と国際価格が相次いで史上最高値を更新しています。
※ 出所:「国内相場は連日最高値を更新(2025年2月4日)」、「米国の政策リスクを背景に国際相場も過去最高値(2025年1月31日)」、「米国への金と銅の大量流入が始まり、新たな需給バランスが形成(2025年2月2日)」以上すべて日経新聞
こうしたニュースを目にすると、「いまから買っても遅いのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この高値更新の流れはまだ始まったばかりです。
ではこの先、金価格はどこまで上昇し、投資家はどのように行動すればよいのでしょうか? 2025年以降の金市場を見通すための「2つの大テーマ」をもとに、一緒に考えていきましょう。
米国に、大量の金と銅が流れている
2024年末、米国ではトランプ前大統領の再選が濃厚となり、関税政策の復活が現実味を帯びました。これをきっかけに、多くの投資家や企業が「米国での物価上昇」に備え、金や銅といった貴金属を米国内に移動させる動きが活発になっています。
ここで注目したいのが、「一物二価(いちぶつにか)」という現象です。一物二価とは、簡単にいうと、同じ商品が異なる市場で異なる価格で取引されることを指します。
たとえば、トランプ政権が関税を強化すれば、輸入金属のコストが上昇し、米国内の金や銅の価格が国外市場よりも高騰する可能性があります。
そのため、いまのうちに比較的安価な市場(アジアや欧州)から米国へ金を輸送する動きが加速しているのです。この需給バランスの変化がもたらす影響はとても大きいといえます。
・米国内の金価格が高騰→米国の投資家が金を積極的に購入
・アジア市場では供給減少が発生→日本を含むアジア市場で金価格が上昇
・金はますます“安全資産”としての価値を高める
つまり、今後数年にわたって、金の価格はさらに上昇していく可能性が高いということです。
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トランプ関税が引き起こす市場変動と金投資の関係
なぜ金がアメリカに流れるのでしょうか? トランプ氏の政策は、金だけでなくドルの価値にも影響を与える可能性があります。
過去の事例を見ても、米国が関税を強化した際は、
・貿易摩擦の激化→景気減速の懸念が高まる
・ドルの価値が変動→安全資産として金が買われる
・金の価値が相対的に上昇→価格がさらに上昇
という流れが繰り返されてきました。
2025年の状況を考えると、再び同じ流れが起こり得る可能性が高いでしょう。すでに金は“買われる”モードに入っていて、
1.トランプ関税の影響で、金の供給が米国に偏る
2.世界的に金の流通量が減少し、価格が上昇する
3.金を持っていることで、インフレリスクを回避できる
という流れが予測されます。では、こうした状況のなか、投資家はどのように行動すればよいのでしょうか?
2025年は投資家にとって“チャンス”の年
2025年は、「金投資の波」に乗るか乗らないかの選択を迫られる年になるといえます。
短期的に考えると、金最高値更新のニュースは「これから下がるのではないか」と不安を感じたり、躊躇したりする材料になりえます。
しかし、長期的に考えると、
・米国市場の変動が金価格の押し上げ要因になる
・中央銀行の金買い増しが続き、市場価格がさらに底上げされる
といった理由から、金市場は現在、2030年、2035年と続く上昇トレンドの“序章”に過ぎません。現在の視点では高値に見えるかもしれませんが、未来の視点では“安値”である可能性が高いのです。
金投資の「波」に乗れ
「いまからでは遅いのでは?」と心配になる気持ちはよくわかります。しかし、米国への金流入が進み、国際市場の需給バランスが変化しているいま、トランプ関税による市場の混乱は金の価値をさらに押し上げることから、2025年はむしろ、金投資を始める絶好のチャンスです。
この波に乗るか、乗らないか……。
その選択が、未来の資産を大きく左右することになりそうです。
小川 竜一
コインパレス 公式アンバサダー
アールトラスト・インベスターズ株式会社 代表取締役