ビットコインよりも「取引承認」のスピードが速い
ライトコイン(Litecoin)は、2011年10月にソースコードの共有サービスであるGithub上で、元Googleの社員であったCharlesLee(チャールズ・リー)氏によって公開されました。ライトコインは、数あるアルトコインの中でも初期に作られたもので、ビットコインのプログラムコードをもとに開発されています。
そのため、基本的な仕組みはビットコインと同じですが、ビットコインよりも取引承認のスピードが速いことで注目を浴び、2013年9月には24時間で流通額が倍増するような過熱ぶりを見せました。2016年9月現在でも流通総額では上位に入っており、世界中で取引されている暗号通貨の1つです。
ライトコインは承認時間が約2分半と、ビットコインの約10分に対して4分の1であることが大きな特徴です。その他にも暗号化方式がビットコインが採用しているSHA-256ではなくScryptを採用している点や、コインの発行量がビットコインの4倍にあたる8400万である点などの仕組みが異なります。
各種攻撃などに対するセキュリティ面での利点も
前述のように、ライトコインは承認時間や暗号化方式、コイン発行量の3つの点でビットコインと異なった特徴を持っています。詳しく内容を見ていきましょう。
まず承認時間が2分半とビットコインと比べ短い時間で済むという点で、利用者の便利さにおいて有利です。その他にも、悪意ある攻撃などに使われる「ダブルスペント(二重支払い)」を防止しやすいというセキュリティ面の利点もあります。
複数の人にほぼ同時に送金をすることで、ある人への送金が正しく行われないことを指します。
その一方で、承認時間(ブロック生成間隔)が短いことで、改ざんなどに対するセキュリティレベルが低くなる恐れや、ブロックチェーンのデータのサイズがより大きくなってしまうというシステム上のデメリットとのバランスが懸念されています。
最後に、コインの発行上限が8400万である点ですが、これはビットコインのインフレ率に合わせるための数値設計がなされました。ビットコインでは、約10分毎にマイニングの報酬として新たなビットコインが生成されます。
ライトコインの場合は、承認時間が約2分半と短く、コインが新たに生成される頻度がより増えることになります。ライトコインは、報酬額の設定がビットコインと同じです。承認数が増えることによってコインのインフレ率をビットコインに合わせるために、ビットコインの発行量の4倍に設定されて調整されているというわけです。
次に採用された暗号化方式ですが、ライトコインが採用している「Scrypt」は、公開当時ビットコインの採用しているSHA-256よりも計算が複雑であり、マシンメモリをより多く必要としました。公開当時は、ビットコインのマイニングは、マイ二ング専用ハードウェア(ASIC)の導入によりマイニングの難易度(difficulty)が急上昇していたため、まだASICの開発されていないScryptは画期的でした。しかし、現在はScryptに対応したマイニング専用ハードウェアASICの開発が完了して発売されています。
またSHA-256とは違い、Scryptはこれまであまり使われてこなかった暗号化方式の関数(ハッシュ関数)を使用しているという点で、今後何らかの脆弱性が発見されるのではないかとの懸念も指摘されています。
【基本情報】
名称:Litecoin
呼び方:ライトコイン
コード:LTC
開発者/開発組織:CharlesLee
暗号化方式:Scrypt
コンセンサスアルゴリズム:ProofofWork
承認目安時間:約2.5分
上限発行量:8400万