前回は、国際決済のための分散型台帳ネットワーク「リップル」の概要を説明しました。今回は、新たな送金方法として注目される「リップルネットワーク」の概要について見ていきます。

日本の大手金融機関も注目

「みずほフィナンシャルグループ」と「SBIホールディングス」がリップルネットワークで国際送金の実証実験を行うなど、日本の金融機関も国際的な送金方法の新たな取り組みとして注目しています。

 

リップルネットワークで利用されるゲートウェイは、リップルネットワーク内において銀行に近い役割を果たす個人または法人です。ゲートウェイは、ユーザーから資産(ビットコイン、円、ドルなど)を預かると、それに対応するIOUを発行します。このIOUをゲートウェイで変換することで、そのIOUに対応した資金を受け取ることができます。

 

リップルネットワークの仕組みについて、具体例で見てみましょう。ここではわかりやすいように登場人物はリップルを利用するユーザーであるAさんとBさんの2人。そしてゲートウェイを運営する企業であるゲートウェイXとゲートウェイYがあると仮定します。

リップルを利用した送金なら手数料は大きく削減

さてここで、AさんはこれからBさんに100万円を送金するとしましょう。

 

まずAさんは円とIOUの交換を取り扱っているゲートウェイXに100万円を預け入れることで、代わりに100万円分のIOUを受け取ります。

 

Aさんは、このIOUをリップルネットワークを通してBさんに送信します。その際に、ネットワーク利用手数料として少額のXRP(0.00001XRP。日本円にして1円未満)を支払います。

 

IOUを受け取ったBさんは、円とIOUの交換を取り扱っているゲートウェイYでIOUを円に変換し、100万円を受け取ります。このようにして、AさんからBさんへの送金が完了します。

 

もしBさんが円以外の通貨で受け取りたい場合は、100万円分のIOUを他のIOUと交換することで実現できます。リップルには取引所の機能が備わっており、リップルネットワーク内のIOUの通貨ペア同士で取引が可能です。取引が成立した際にも、少額のXRPを支払う必要があります。

 

これが仮に従来のように銀行を使って国際送金を行う場合、利用する銀行にもよりますが、送金手数料が10%、さらに両替手数料がかかります。つまりリップルを利用した送金ができれば、手数料は大きく削減できることになります。これによって人々は格安で距離や国境を越えた送金ができるようになります。現在年間の国際送金の額は、約1500兆円にも及ぶと言われており、これにかかる送金手数料と両替手数料はなんと60兆円と言われています。

 

また、XRPはリップルネットワークの利用手数料として消費されるほか、ブリッジ通貨としての役割もあります。流通量の少ないマイナーなIOU同士でも、間にXRPを挟むことによって取引を成立させることができます。

本連載は、2016年11月24日刊行の書籍『一冊でまるわかり 暗号通貨 2016~2017』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

一冊でまるわかり 暗号通貨2016~2017

一冊でまるわかり 暗号通貨2016~2017

森川 夢佑斗

幻冬舎メディアコンサルティング

電気代を暗号通貨で支払えるようになる――こんなニュースが伝えられるなど、「暗号通貨経済」の到来が間近になっている。本書は「ビットコイン」をはじめとする暗号通貨やそれを支えるブロックチェーンについて、興味を持って…

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