(※画像はイメージです/PIXTA)

金は今年最大の上昇率を記録した8月から反落したものの、FRBと米ドルによる逆風のなか、依然として約4,000ドルが重要な下値支持線として意識されています。経済や政策の不透明性の高まりを背景に、ポートフォリオの分散手段や通貨価値変動に対するヘッジとしての金投資需要は、今後一段と加速する可能性があります。金資産の優位性に改めて注目が集まるなか、今後2027年にかけてどのような推移を見せるのでしょうか。※なお、本稿はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの4名のストラテジストによる共同執筆です。

金の供給の伸びは限られ需給は引き締まるものの、需要が加速すれば強気材料

金の供給は主に鉱山生産とリサイクル金で構成されます。生産者による小規模な純ヘッジも総供給に含まれますが、図表の棒グラフには含まれていません。鉱山生産は最大の供給源ですが、新たな生産には探鉱、許認可、資金調達、開発に何年もかかるため、調整が最も難しい供給源でもあります。一方、スクラップ金は価格や市場心理の変化に比較的早く反応する傾向があります。とはいえ、金価格が高水準で推移する一方でリサイクル金の供給は弱含んでおり、価格上昇に対する金の全般的な供給の反応が鈍いことを浮き彫りにしています※11。

 

金価格は2010年の1オンス当たり約1,225ドルから2026年上半期には4,500ドル超へと上昇したにもかかわらず、鉱山生産はパンデミック後に伸び悩み、2010~2012年の平均2,863トンから2025年には約3,823トンとなりました。これは、アジアにおけるリサイクル供給がなければ、価格の上昇だけで新たな供給を大幅に増やすことには限界があることを示しています※12。

 

明らかに、供給面の大きな制約となっているのはリサイクルです。鉱山生産量に対するリサイクル金の比率は、2010~2012年の57%から、2025年~2026年上半期には37%まで低下しました。インド・ルピー(INR)建てや人民元(CNY)建てで史上最高値を付けるなど、金価格が上昇しているにもかかわらずです※13。リサイクルによる供給が十分に増えていない背景は、可能性として、アジアの主要市場で金の退蔵が続いていること、需給が引き締まっていること、および原油やトウモロコシなどと比べて、金の供給が構造的に価格変動に反応しにくいことが挙げられます。その結果、中国の現物需要、中央銀行の需要、投資需要が持続すれば、少なくとも2027年にかけて、金の平均的な需給均衡価格が供給の大幅増を上回って高くなる可能性があります。

 

〈脚注〉

1 Source: Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of September 30, 2026.

2 Source: Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of September 30, 2026.

3 Source: China Customs, LBMA, SGE, as of September 30, 2026.

4 Source: Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of September 30, 2026.

5 Source: Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of September 30, 2026.

6 Source: Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of September 30, 2026.

7 Source: Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of September 30, 2026.

8 Source: Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of September 30, 2026.

9 Source: Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of September 30, 2026.

10 Source: Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of September 30, 2026.

11 Source: World Gold Council, Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of June 30, 2026.

12 Source: World Gold Council, Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of June 30, 2026.

13 Source: World Gold Council, Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, as of June 30, 2026.

<出所>
★1 出所:ブルームバーグ・ファイナンス L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、2026年9月30日時点。注:労働生産性は、非農業事業部門の時間当たり生産高を用い、その前年比伸び率の12カ月移動平均で示しています。連邦政府の利払い費は、純利払い支出額で測定しています。記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。
★2 出所:ブルームバーグ・ファイナンス L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、2026年9月30日時点。記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。
★3 出所:ワールドゴールドカウンシル、ブルームバーグ・ファイナンス L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、2026年6月30日時点。記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

 

<用語集>
・中央銀行:金融政策の運営、通貨の管理、および金融システムの安定維持を担う国家または地域の機関。中央銀行はまた、公的準備資産の一部として金(ゴールド)を保有しています。

・金 ETF:投資家に金価格へのエクスポージャーを提供するよう設計された上場投資信託。ファンドへの資金流入・流出は、金の投資需要の変化を示す場合がある。
・金のスポット価格:スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。
・実質金利:インフレ調整後の金利。物価上昇の影響を取り除くことで、真の借入れコストおよび投資による実際の利回りを反映します。
・経済見通し(SEP):FRB が四半期ごとに公表する、経済成長率、失業率、インフレ率、FF レートの見通し。
・コア PCE インフレ率:FRB が重視する基調的なインフレ指標で、個人消費支出(PCE)に基づき、食品とエネルギーを除いた価格の上昇率。
・脱ドル化:準備資産、貿易、金融取引における米ドルへの依存を減らそうとする国や機関の取り組み。代替準備資産としての金の需要を高める可能性がある。
・FRB のタカ派的な政策転換:FRB が金融引き締め方向へとシフトすることで、通常、政策金利の引き上げ、利下げ幅の縮小、あるいはインフレ抑制の強化を示唆します。
・移動平均:一定期間における資産価格の平均値。本稿では、50 日移動平均線と 200 日移動平均線を、金のテクニカル上のサポートまたはレジスタンスとなり得る水準として用いている。
・フィボナッチ・リトレースメント:直前の価格変動のうち、どの程度が戻されたかを測ることで、サポートまたはレジスタンスとなり得る水準を特定するテクニカル分析の手法。
・ボリンジャーバンド:移動平均の上下に描かれる、ボラティリティに基づくバンド。価格が下限のバンド付近にある場合、その資産がテクニカル上のサポート水準に近づいている可能性を示す。
・リサイクル金:既存の宝飾品、投資商品、その他の加工品から回収され、市場に戻される金を指す。鉱山生産とは異なり、リサイクル金の供給は価格や市場環境に比較的早く反応することができる。

 

〈ご留意事項〉
本書は、投資の推奨や投資アドバイスを意図したものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。

本稿に示されている見解は2026年7月31日時点のSPDRゴールド戦略チームの見解であり、市場やその他の状況によって変わる場合があります。本資料には、将来の見通しと見なされる可能性のある記述が一部含まれています。その様な記述は、将来のパフォーマンスを保証するものではなく、実際の結果や展開はこれら予想とは大きく異なる場合がある点にご注意ください。

提供された情報は、投資助言に該当するものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。本情報は、有価証券の購入の勧誘または売却の申出とみなされるべきものではありません。本情報は、投資家の特定の投資目的、戦略、税務上の地位または投資期間を考慮したものではありません。ご自身の税務・財務アドバイザーにご相談ください。

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過去の実績は、将来の投資成果を保証するものではありません。

本資料は、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。

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