今回は、銀行との「借り換え交渉」の進め方を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

他行から提示されている条件を伝えると…

銀行交渉の内容をお聞きしていると、信じられないような発言をする担当者がいることに、驚きます。

 

ある経営者が、取引のある5つの銀行と交渉し、

金利の低減、個人保証・担保の削除を進めていました。

で、金利の高い銀行は、他行へ借り換えもしたいのです。

案の定、借り換えに応じる銀行が現れました。もちろん、個人保証・担保なし、で、金利も0.5%を切ります。

 

その条件をもって、金利の高い銀行へ出向きました。金利を下げる、個人保証・担保を外すことを要求しました。で、他行から提示されている条件を伝えました。

すると、その担当者は、次のように言ったそうです。

“担保をなくして、将来、設備投資する際にどう借入れするのですか?”

“無担保・無保証にしたら、この先、その銀行では借りれないですよ”

“無借金にしたら、銀行とのパイプが細くなりますよ”

などなど言いながら、最後に、

“だから今まで通りの条件で、

我々との付き合いを継続したほうがいいですよ”

と、言い放ったそうです。

 

“おどすつもりですか?”

その経営者は、思わず言いました。

“いえいえ、そのようなつもりではございません!”

とはいうものの、どう聞いても、上から目線のおどしです。

担当者が脅迫まがいの言葉を並べる!?

“では全額返済させていただき、他行との付き合いに変えます。”

と切り返し、これで態度を変えると思いきや、

“金利や条件だけで取引銀行替えたら、いざと云う時に助けてくれなくなりますよ!”

“繰り上げ返済すると当行の履歴に残り、今後お貸付け出来ないですよ!”

“設備投資資金が御入り用の時困りますよ!”

“担保設定残しておけば、いざと云う時すぐお借入れ出来ますよ!”

“借入れの際は通常 担保や保証が必要なのは常識ですよ!”

と、まだ懲りずに脅迫まがいの言葉を並べてきたのです。

よくもまあ、これだけ思いつくものです。

当然、そんな脅しに屈するわけもなく、全額返済になりました。

 

条件を変える対応をすればよいものを、

脅し文句で対応するしかできない、ひどい担当者もいるのです。

驚くのは、この銀行、政府系なのです。

店頭で個人保証免除のチラシを置いておきながら、

愚劣な発言のオンパレードなのです。

 

銀行を取り巻く環境の変化を知らない担当者が、

いかに多いか、ということです。

 

交渉をする際は、スマホの録音ボタンをオンにして臨み、

脅しの証拠を支店長に突きつけてやればいいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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