今回は、銀行が融資先の「営業利益」を重視する理由を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

銀行による「スコアリング」の配点とは?

“銀行は、営業利益より経常利益を重視するんじゃないですか?”
そう言われる方がおられました。なぜですか?とお聞きしました。
“いやぁ・・・、普通、やっぱりそうでしょ?”
要は、なんとなく、そう思っているのです。

 

しかしこれは、はっきりとしています。

 

営業利益を重視する、なのです。

 

その答えが、銀行による融資先の格付け、いわゆる「スコアリング」の配点にあるのです。結論から言えば、営業利益の配点が、ダントツで大きいのです。

 

格付けには、13の経営指標をもとに行われます。
詳しくは、こちらを参照ください。
「kakuzuke.xls」をダウンロード

全体の43%を占める「営業利益」が関わる評価項目

各指標を点数化し、満点の合計点が129点です。13の経営指標のうち、その計算式に営業利益が含まれているものは、3つです。にもかかわらず、その3つの配点合計が55点、なのです。129点のうちの、55点です。営業利益が関わる評価項目だけで、全体の43%を占めるのです。

 

では、経常利益の項目はどうか?です。こちらも、13のうち、3つの経営指標に含まれています。しかしその配点合計は、15点、です。全体の、12%です。
営業利益項目に比べて、3分の1以下のウエイトなのです。

 

これが、

“銀行は営業利益を重視しています!”

という理由なのです。

評価のウエイトが全然違うのです。

だから、

“営業利益が大きくなるよう、決算書を工夫しなさい!”

というわけです。

“営業外収益じゃなく、その他売上に計上してください!”

“販管費じゃなく、特別損失に計上してください!”

というのは、営業利益を大きくしたいから、なのです。

 

ここのところは、税理士事務所や会計事務所では、わからないところです。
銀行交渉は、彼らが重視する法人税法とは、なんら関係がないからです。
こちらが知識を蓄え、会計処理をリードしてほしいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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