9割超の大家が条件交渉に応じる余地あり
賃貸物件を借りる際、家賃や初期費用について「少しでも安くならないか」と考える人は少なくないでしょう。一方、貸主である大家にも、収益を確保しながら空室を埋めたいという事情があります。入居者の希望をどこまで受け入れるかは、物件の状況や交渉内容によって変わります。
では、実際に大家はどのような条件なら受け入れやすいのでしょうか。不動産投資家を対象とした調査結果から、その傾向を見ていきます。
健美家株式会社の調査によると、入居申込時の条件交渉について「条件や状況次第で応じる」と回答した不動産投資家は91.2%に上りました。「無条件で応じる」とした人も2.2%おり、「一切応じない」は6.6%でした。
この結果からは、多くの大家が条件交渉を一律に断っているわけではないことがわかります。ただし、交渉を受け入れる余地があることと、希望した条件が通ることは別です。何を求めるかによって、大家の判断も変わってきます。
その違いが表れているのが、フリーレントと家賃の引き下げです。
フリーレントは62.1%、家賃減額は31.9%
調査では、入居申込者から打診される条件として、フリーレントが58.8%、家賃の引き下げが56.6%を占めました。どちらも、入居時の負担を抑えたい借り手にとって関心の高い条件です。
一方、大家が応じやすい条件としてフリーレントを挙げた割合は62.1%でした。これに対し、家賃の引き下げは31.9%にとどまっています。借り手からの要望が多い一方で、大家が受け入れやすいとは限らないことが数字に表れています。
この差を理解するうえで重要なのが、フリーレントと家賃減額の違いです。
フリーレントは、入居後の一定期間について家賃を無料にする仕組みです。たとえば、契約上の月額家賃が10万円の物件で1ヵ月分のフリーレントを設定した場合、その月の家賃負担はなくなりますが、契約上の月額家賃そのものは10万円のままです。
一方、家賃を10万円から9万5,000円に引き下げると、減額した金額が毎月の収入に影響します。2年間入居した場合、単純計算で家賃収入は合計12万円少なくなります。入居期間が長くなるほど、減額の影響も積み重なります。
不動産投資では、毎月の家賃収入が収支を左右します。月額賃料は物件の収益性を判断する際の基礎となるため、大家にとっては、一時的な家賃免除と毎月の賃料引き下げでは受け止め方が異なるのです。
なお、フリーレントも大家にとって負担がないわけではありません。無料にした期間の家賃収入は得られないため、空室が続く場合と比べてどちらが有利か、入居期間も含めて判断する必要があります。
調査では、家賃の値下げを受け入れる場合の金額についても回答が集まり、月額「1,001円~3,000円」の減額が最多となりました。家賃交渉の余地があっても、大幅な値下げが当然に認められるわけではないことがうかがえます。

