家を売ってもローンが消えない…夫婦に残った「500万円の借金」
健太さんは「家を売却してローンを完済し、残額をわければ解決する」と考えていました。しかし、不動産会社から届いた査定額は約5,300万円。夫婦の住宅ローンは、合計約5,800万円残っていました。
「8,000万円で買った家だぞ? 注文住宅だし、設備にも金をかけた。そんなに安いわけがない」と詰め寄る健太さんに対し、不動産業者の担当者は「購入にかけた金額が、そのまま売却価格になるわけではありません」と説明します。
査定額で売れたとしても、ローンを完済するには約500万円足りません。仲介手数料などを含めれば、負担はさらに増えます。
オーバーローンの現実を突きつけられた美紀さんは、「じゃあ、私は娘とここに住む」と告げます。
「俺にローンを払い続けろっていうのか?」
「私も自分の分は払う」
「いまの収入で? 現実を見ろよ。お前一人じゃ、この家は維持できない」。健太さんは鼻で笑いました。しかし美紀さんに「沙織と住むためなら払えて、娘が住むためには払えないの?」と返されると、黙ってしまいます。
物件全体を売却するには、共有者である2人の同意が必要です。しかし、美紀さんには健太さんの持分を買い取る資金がなく、健太さんにも不足分を負担してまで売却する余裕はありません。離婚協議が成立しても、共有名義と住宅ローンが2人を縛り続けることになります。
「元妻のためにローンを払い続ける男とは、結婚できない」
自宅の問題が解決しないまま、健太さんと美紀さんの離婚は成立しました。美紀さんと娘は自宅に残り、健太は会社近くの賃貸マンションへ転居します。その結果、健太さんには自分が住んでいない家の住宅ローンと、月18万円の家賃がのしかかりました。
経済的に余裕がなくなった健太さんに対し、沙織さんも、次第にいらだちはじめます。
「私たち、いつになったらあの家で暮らせるの? 離婚したら家はあなたのものになるっていったよね?」
健太さんがデートや贈り物に使うお金を減らすと、沙織の態度はさらに冷たくなりました。数日後、沙織さんは健太さんのマンションから荷物を持ち出します。
「住んでもいない家のローンでお金がない男とは、結婚できない」
健太さんは妻と娘だけでなく、沙織さんにも見捨てられました。それでも、住宅ローンの返済日は毎月やってきます。
離婚から1年後、健太のもとへ見知らぬ不動産会社から一通の書面が届きました。美紀さんが自らの所有持分(自宅の2分の1)を専門業者へ売却したという通知でした。
不動産会社と金融機関に相談した美紀さんは、持分だけでは自宅全体を売るより価格が安くなることも、売却代金を返済に充ててもローンが残ることも承知のうえで、「健太さんとの共有関係を断ち切る」ことを優先したようです。
新しく持分を取得した第三者の不動産会社からは、健太さんに対して「持分の買い取り」または「自宅全体の売却」に向けた協議が求められることになりました。家族のために建てたはずの自宅の半分は、顔も知らない第三者の手に渡る結果となったのです。
