結婚記念日の夜、妻が見た「夫の不倫LINE」
「離婚したら、この家で一緒に暮らそう。美紀と娘には出ていってもらえばいい」
そのメッセージを見つけた瞬間、美紀さん(44)は、冷蔵庫から取り出したシャンパンを床へ落としそうになりました。送り主は、夫の健太さん(47)で、相手は美紀さんの大学時代からの親友である沙織さんだったからです。
その日は、健太さんと美紀さんの15回目の結婚記念日でした。美紀さんは健太さんの好きな料理を作り、シャンパンを冷やしていました。中学1年生の娘は気を利かせ、「今日は2人でゆっくりしてね」と自分の部屋へ戻っています。
しかし、午後10時を過ぎても、健太さんは帰ってきません。美紀さんが連絡しようとしたとき、家族共用のタブレットに通知が届きました。健太さんのアカウントが、誤って同期されていたため、メッセージの内容が見えてしまったのです。
「住宅ローンは俺が払ってるようなものだし、家は俺がもらえると思う」
「美紀、本当に出ていってくれるの?」
約1時間後、帰宅した健太さんはテーブルの料理を見ても謝る様子を見せず、「会食が長引いた。先に食べててよかったのに」と口にしました。
美紀さんがLINEの履歴から見つけた写真を夫に突き付けます。そこには、健太さんと沙織さんがホテルで頬を寄せ合う写真が写っていました。「私たちを追い出して、この家で沙織と暮らすつもりだったの?」と聞くと、健太さんは動揺しながらも「酒が入っていた」「沙織が勝手に盛り上がっただけだ」と苦しい弁明を重ねます。
沙織さんは、美紀さんの結婚式で友人代表のスピーチを務め、娘が生まれたときには病院まで駆けつけてくれた親友でした。夫への不満を相談した際も「健太さんは仕事が大変なんだよ」となだめていたのです。その親友と夫が、約1年前から不倫関係にあり、さらに自分と娘を追い出したあとの生活まで話し合っていた事実が判明しました。
追い詰められた健太さんは「わかったよ。離婚すればいいんだろ。ただし、家は俺のものだからな」と開き直ります。美紀さんはなにも言い返しませんでした。
次の日の夜、健太さんが家に帰るとテーブルの上に離婚届が置かれていました。その横には、一枚のメモが。
「この家に沙織を住ませることだけは、絶対に許さない」
「この家の半分は、私の持ち分」離婚届を置いた妻の要求
離婚届を置いた翌日、美紀さんは自宅の登記事項証明書と住宅ローンの返済予定表をテーブルに並べました。夫婦が8年前に購入した自宅は、土地も建物も夫婦それぞれ「2分の1」の共有名義になっています。
「名義が半分でも、ローンの大半を払っているのは俺だ」と主張する健太さんに対し、美紀さんは「家を買ったときは私も正社員で、一緒に返済してきた」と反論します。
「でも、いまのお前の収入じゃ維持できない。離婚したら出ていくしかないだろ。住めない人間が権利だけ主張するなよ」
話を聞いていた中学生の娘が隣の部屋からやってきて、「パパ、私たちを追い出すの?」と尋ねると、健太さんは言葉を詰まらせました。
美紀さんは娘とともに家に残る姿勢を崩さず、健太さんも自分がローンを払っている家を手放す気はありませんでした。
夫婦どちらの一方的な感情だけでも共有不動産は動かせません。「俺の家」と言い張る夫と、「渡さない」と決意した妻。離婚協議は感情の対立から、自宅の持分を巡る争いへと変わっていきました。
