基礎控除額「年間110万円」の日本、「1,500万ドル」の米国…贈与税制にこれほど差がある理由【国際税理士が解説】

基礎控除額「年間110万円」の日本、「1,500万ドル」の米国…贈与税制にこれほど差がある理由【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では「年間110万円までなら贈与税がかからない」という話がよく知られています。これは、贈与税の基礎控除額が年間110万円と定められているためです。一方、米国では1人1,500万ドルという生涯の大きな基礎控除があります。しかも、相続した不動産や株式の取得価額を死亡時の時価に引き上げる「ステップアップ」もあります。日米で、贈与と相続に対する税制の考え方は大きく異なります。先日のトランプ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談も、日本では大きく報じられましたが、米国では日本ほど関心を集めませんでした。実は税制にも、こうした日米の違いがあります。『トランプ劇場と超富裕層課税』の著書がある奥村眞吾税理士が、贈与を切り口に両国の税制をの違いをみていきます。

贈与と相続を「一つの枠」で考える米国

米国の制度を理解するうえで重要なのが、贈与税と遺産税を別々のものとして考えないことです。生前に大きな贈与を行えば、その分だけ生涯の控除枠を使うことになります。

 

そして、亡くなった時点で残っている財産についても、遺産税の対象となる可能性があります。つまり米国では、「生前に贈与するのか、それとも相続させるのか」という選択を、贈与税と遺産税を一体として考える必要があります。

値上がりした株や不動産は「相続」が有利になる場合も

さらに米国の相続を考える際に重要なのが、いわゆる「ステップアップ」です。

 

米国では、原則として死亡時に相続した資産の取得価額が、その死亡時の公正市場価値(時価)に引き上げられる仕組みがあります。

 

たとえば、親が10万ドルで購入した住宅が、亡くなった時点で80万ドルになっていたとします。

 

この住宅を子が相続した場合、原則として子の取得価額は死亡時の80万ドルを基準とすることになります。

 

その後、子が80万ドル程度で売却すれば、親が購入した10万ドルとの差額70万ドルについて、親が保有していた期間の値上がり益まで子がそのまま課税されるわけではありません。

 

これは、含み益のある不動産や株式などを生前に贈与する場合と比べ、相続による資産移転に一定の意味を持たせる制度です。そのため、米国では「値上がりした資産を生前に贈与するのか、相続させるのか」という点も、税負担を考えるうえで重要になります。

 

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

 

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