改正前の「駆け込み贈与」を国税当局が注視
そこで問題となるのが、2027年1月の改正を前にした2026年中の取引だろう。
「新しい評価方法が適用される前に、子や孫などに贈与してしまえば、従来の評価方法を利用できるのではないか」。
こうした考えから、改正前に不動産小口化商品を親族へ贈与する動きが増える可能性がある。
実際、国税当局もこうした動きを注視している。
2026年5月28日から29日に開催された全国国税局課税(第一・第二)部長会議では、貸付用不動産の評価方法の見直しに関連して、不動産小口化商品について言及されたことが報じられている(『週刊T&A master』2026年8月3日号)。
報道によれば、会議では、通達の施行までの間に「親族間における駆け込み贈与等の発生が懸念される」との認識が示された。
さらに、不動産小口化商品に係る取引の動向などについて、「重大な関心をもって注視」するとしているという。
特に注目されるのが、その後の対応だ。会議では、今後、「悪質な事例等を把握した場合には、課税処分を念頭に資料・情報収集を積極的に行う」とし、必要に応じて国税庁に情報を提供するよう求めていると報じられている。
もっとも、この部長会議で議題となったのは、不動産小口化商品に限った話ではない。会議では、租税回避スキーム全般への対応が主題となっており、国税庁はスキームを企画・商品化して販売する仲介者(プロモーター)の存在を把握したうえで、こうした業者が手がける節税商品の利用が急速に拡大しているとの認識を示している。
国税庁は今後、外部からの情報提供や税務調査を通じた「スキームの早期探知」、税制改正への意見提出といった従来の取り組みをさらに強化する方針だという。
不動産小口化商品への「重大な関心」は、こうした租税回避スキーム対策全体の議論のなかで示されたものだ。つまり、小口化商品だけが単独で問題視されているのではなく、プロモーター主導の節税スキームに対する国税当局の警戒姿勢の一環として、名指しされた形といえる。
ここから読み取れるのは、改正前に行われる贈与を一律に否定するという姿勢ではない。むしろ、改正による評価差を利用するために行われる取引のうち、悪質と判断される事例を把握し、必要に応じて対応する姿勢とみるのが適切だろう。
