インドでは高額紙幣を突然無効化
海外に目を向けると、さらに大胆な事例があります。
インドでは2016年11月、500ルピー紙幣と1,000ルピー紙幣を法定通貨として使用できなくする「高額紙幣廃止」が実施されました。
目的の一つは、偽造紙幣やテロ資金への対策に加え、現金で保有されているブラックマネーを排除することでした。
旧500ルピー紙幣と1,000ルピー紙幣は銀行などに預け入れることができましたが、窓口で現金に交換できる額には当初4,000ルピーの上限が設けられました。また、銀行口座からの現金引き出しにも制限が設けられ、当初は1日1万ルピー、1週間2万ルピーとされました。
ここは注意が必要です。1日1万ルピー、1週間2万ルピーという制限は、旧紙幣そのものの交換上限ではなく、銀行口座からの現金引き出しに対する制限です。
インドの政策は、従来の高額紙幣を突然使えなくすることで、現金として保有されていた資金を金融システムに戻すことを狙ったものでした。
日本で同じような政策を取ることは現実的ではありませんが、現金が「見えない資産」となり得ることを考えるうえでは、興味深い事例です。
新札になっても「古い1万円札」は消えない
日本では、1984年に福沢諭吉の1万円札、2024年には渋沢栄一の1万円札が発行されました。
しかし、新しい紙幣が発行されたからといって、それ以前の紙幣がすべて直ちに使えなくなるわけではありません。
そのため、家庭の金庫や引き出しなどに、福沢諭吉の1万円札だけでなく、さらに古い聖徳太子の1万円札が眠っている可能性もあります。
もちろん、現在どれほどの聖徳太子の1万円札がタンス預金として残っているのかは分かりません。しかし、何十年もの間、一度も使われることなく家庭の中に保管されてきた現金が存在している可能性は十分にあります。
「古い紙幣だから価値がない」と考える必要もありません。日本銀行券として現在も有効なものであれば、額面どおりの価値を持ちます。一方、希少性などから額面を上回る価値がつくケースもあります。
