海外に逃げれば税金は取られない?国税当局が外国政府と連携…「国境を越えた滞納税」の徴収が進むワケ【国際税務の専門家が解説】

海外に逃げれば税金は取られない?国税当局が外国政府と連携…「国境を越えた滞納税」の徴収が進むワケ【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「海外に移れば、日本の税金は取られない」。そんな考え方は、もはや通用しません。国際化によって人や資産が国境を越えて移動する一方、税務当局も外国政府との連携を強化しています。多国間条約に基づく滞納税の徴収から、条約がなくても行われる税務当局同士の協力まで、国境を越えた「税の徴収」はどこまで進んでいるのでしょうか。国際課税研究所首席研究員の矢内一好氏が解説します。

韓国で滞納、日本へ移ったサッカー選手に徴収の手が及んだワケ

この共助条約に関連する事例として、韓国で活躍したサッカー選手が、その後、日本に来てプレーしていたケースがあります。

 

この選手は韓国において税を滞納していました。そこで韓国政府から日本政府に対して、共助条約に基づき、当該選手から韓国の滞納税を徴収するよう依頼があり、日本側が徴収したとされています。

 

この事例では、当該選手が、国を移れば税の徴収から逃れられると考えていた可能性もあります。しかし現在では、国際的な条約のネットワークによって、こうした「国境を越えれば逃げ切れる」という事態を許さない体制が構築されています。

 

税務当局にとっても、納税者が国外へ移動したからといって徴収をあきらめるのではなく、相手国の税務当局に協力を求めるという選択肢があるのです。

税金の徴収だけではない、国際間の「相互協力」

国際的な税務協力は、滞納税の徴収だけに限られません。

 

第2の仕組みとして挙げられるのが、国際間の相互主義、あるいは相手国の協力によって、課税上の取り扱いを調整するケースです。

 

例えば、日本の半公的機関に対してある国が免税措置を講じている場合、その国の同様の機関が日本で活動していても、日本側ではあえて課税しないという措置が講じられることがあります。

 

このように、国際間では、自国の機関や政府関係団体などに対する相手国の課税上の取り扱いを踏まえ、相互に同様の取り扱いをすることがあります。

 

国際的な税務協力というと、脱税や租税回避を防ぐための情報交換や滞納税の徴収が注目されがちですが、実際には各国が相互に協力し、課税上の取り扱いについて一定のバランスを取ることも含まれています。

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