差し押さえた財産は公売へ
それでも納税が行われず、財産の差し押さえに至った場合には、公売という手段もある。国税庁は、滞納処分によって差し押さえた財産について、入札や競り売りによる公売を実施し、その売却代金を滞納国税に充てている。
2025年度の資料では、自動車について見積価額1,390万円に対して落札価額1,650万2,000円、腕時計は103万円に対して140万1,000円、バッグは140万円に対して300万6,000円、ブレスレットは50万9,000円に対して91万8,000円という売却事例が紹介されている。
公売そのものもデジタル化されており、インターネットを利用した期間競り売りや電子入札が行われている。
「払えない」と「払わない」をどう見分けるのか
ここまで見ると、国税庁が「税金を滞納した人を徹底的に追いかけている」という印象を受けるかもしれない。しかし国税庁の資料が示しているのは、必ずしもそうした単純な構図ではない。
国税庁は、期限内に納税する大多数の納税者との公平性を確保する観点から滞納の整理促進を行う一方、納税が困難な人に対しては猶予制度などの納税緩和措置も案内している。
期限内納付を促すためにキャッシュレス納付や予納ダイレクトを整備し、滞納が発生すればコールセンターで早期に連絡。そして、AIやデータ分析を使って、どの方法・どのタイミングなら接触しやすいのかを予測する。それでも処理が進まない悪質な案件については、詐害行為取消訴訟、第二次納税義務、海外の税務当局との徴収共助、刑事告発、差し押さえ、公売といった手段を使うという。
「税金を滞納したら、ただ督促状が届くだけ」と考えるのは、もはや現実的ではない。データとAIによって接触方法とタイミングを選び、国境を越えて財産を追い、悪質な財産隠しには刑事手続きまで取る。税の徴収もまた、デジタル化と国際化の時代に合わせて、その手法を変えているようだ。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
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