国税の滞納は9,935億円、それでも約99%は期限内に納付
ここで、令和7年度の租税滞納の全体像を確認しておきたい。同年度の徴収決定済額は89兆7,949億円。このうち約98.9%は滞納となることなく納付され、新規発生滞納額は9,935億円となった。前年度から10億円、0.1%の増加である。滞納発生割合は1.1%であり、低水準で推移している。
ただし、新規発生滞納額は過去最高水準というわけではない。ピークだった平成4年度の1兆8,903億円と比べると約5割の水準にとどまる。
また、令和7年度の整理済額は9,802億円で、前年度より315億円、3.3%増加した。その結果、年度末時点で滞納整理中となっている額は9,847億円。前年度末から133億円、1.4%増加している。
重要なのは、「滞納額が約1兆円ある」という数字だけではない。国税庁は発生した滞納をできるだけ早く整理する方針を取っており、令和6年度の徴収決定済額について見ると、98.8%は滞納になることなく納付され、滞納となった9,925億円についても、令和7年度末までに99.8%が整理されている。滞納が発生してから長期間にわたって追い続けるのではなく、できるだけ早い段階で整理することを目指している。
通常の催告で進まなければ、訴訟という手段も
通常の電話催告などでは処理が進まない悪質・困難な案件については、法的手段を活用した滞納整理も行われている。
国税庁は、詐害行為取消訴訟などを提起することで、財産の移転によって徴収を免れようとする行為に対抗しており、令和7年度にはこうした原告訴訟を172件提起した。
こうした法的手段の一つが第二次納税義務だ。国税庁が紹介する事例では、滞納法人の代表者が帳簿を作成せず、証ひょう類を意図的に破棄するなどの不正行為を行い、法人の金銭を私的に流用していた。その後、税務調査によって期限後申告が行われ、重加算税が課されたものの、すでに法人には納税資金が残っていなかった。そこで国税当局は、代表者が行った不正行為によって法人が国税を免れた事実を認定し、法人の金銭の移転を受けた代表者に第二次納税義務を課している。
第二次納税義務とは、形式的には第三者に財産が帰属している場合でも、実質的には納税者にその財産が帰属していると認めても公平を失しないようなケースで、その第三者に補充的に納税義務を負わせる制度だ。会社の財産を別のところに移せば、それで税金の徴収から逃れられるというわけではない。
