「節税効果を最大化」のはずが…経営者が「小規模企業共済」の掛金を“満額”にすると生じる課税リスク【税理士が解説】

「節税効果を最大化」のはずが…経営者が「小規模企業共済」の掛金を“満額”にすると生じる課税リスク【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

小規模企業共済は、社長や経営者の退職金作りに有効な制度であり、掛金を上限の満額に設定することで最大の節税効果を得られます。しかし、出口における税金の計算構造を理解していないと、受け取り時に税負担が生じるリスクも存在します。本記事では、税理士法人グランサーズ共同代表の黒瀧泰介氏が、掛金の「満額設定」によって100万円超の税負担が発生してしまう税務上の原因や、複数の退職金受け取り時に抵触しやすい複雑な年数ルールの実態について解説します。

退職所得控除を最大限に活用する「5年刻み」の出口戦略

これらの複雑な税制ルールを完全にクリアし、手取り額を最大化させるための、多くの経営者に推奨される「5年刻み」の具体的な受け取りスケジュールは以下の通りです。

 

ステップ1(60歳時点)

iDeCoを「年金(分割)」として受け取るまずは60歳でiDeCoの受け取りを開始します。この際、一括の一時金ではなく、あえて「年金」の形式で分割して受け取ります。10年ルールはあくまで「一時金」で受け取った場合にのみ発動する縛りであるため、年金形式であれば影響を回避できます。さらに、60歳から65歳までは国の公的年金が支給されない無給期となるため、この期間に設定されている公的年金にかかる控除の非課税枠である年60万円にiDeCoの受給額をはめ込むことで、税負担を低く抑えながら資金を引き出すことができます。

 

ステップ2(65歳時点)

小規模企業共済を「一時金(一括)」で受け取る次に、65歳になったタイミングで小規模企業共済を一時金として一括で受け取ります。通常であれば社長を引退しなければ退職金は受け取れませんが、小規模企業共済には「15年以上加入していれば、社長の地位を退くことなく、現役のまま65歳で満額受け取れる」という特別な救済ルールが存在します。

 

ステップ3(70歳時点)

会社の役員退職金を「一時金(一括)」で受け取る最後に、70歳で会社を引退し、役員退職金を一括で受け取ります。ステップ2で小規模企業共済を受け取ってから「ちょうど5年間」が経過しているため、iDeCoが絡まない場合の5年ルールをクリアし、会社の退職金にかかる退職所得控除の枠も削られることなく、100%フルに恩恵を受けることができます。

出口を見据えた受け取りプランが資産防衛につながる

小規模企業共済は社長や経営者にとって有益な退職金準備ツールですが、安易に満額を掛け続けて出口を放置すると、将来的に多額の課税を課される事態になりかねません。

 

iDeCoとの併用、そして「iDeCoを年金で受給、65歳で小規模企業共済、70歳で役員退職金」という5年刻みの受け取り設計をあらかじめ構築しておくことが、手元に残る資金を守る唯一の道です。

 

自社の役員退職金の規模や自身の人生設計に応じて、最適な受け取りプランを事前に構築し、税金対策の漏れがないよう着実に備えを進めていきましょう。

 

 

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士

 

 

※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧