「今年は5泊できそう」息子から届いた帰省の連絡
「今年は帰ってこないでほしいって、夫に言ってしまったんです。息子たちが嫌なわけではないんですけどね」
恵美子さん(仮名・69歳)は、同い年の夫・修さん(仮名・69歳)と暮らしています。
夫婦の年金収入は月約28万円。住宅ローンを完済した戸建てがあり、預貯金は約3,200万円です。
長男の亮太さん(仮名・38歳)は妻と小学2年生、5歳の子どもの4人暮らし。新幹線を使って3時間ほど離れた場所に住んでいます。
毎年夏になると、亮太さん一家は恵美子さんたちの家へ帰省していました。孫が生まれたころは、恵美子さんも楽しみで仕方がなかったといいます。
「好きなものを聞いて、お菓子を買って。布団も何日か前から干していました」
ところが、孫が2人になり、滞在が長くなるにつれて事情が変わってきました。
昨年は5泊6日。普段は夫婦2人の食事を作っているところ、帰省中は6人分になります。
朝食を片付けると昼食を考え、昼が終われば夕食です。子どもが使ったタオルや服で洗濯物も増えます。
修さんも買い出しや食器洗いをしますが、献立を考えたり、寝具や日用品を用意したりするのは主に恵美子さんでした。
「帰った後、夫と『楽しかったね』とは言うんです。でも次の日は2人とも何もしません。疲れているんですよね」
今年7月、亮太さんからメッセージが届きました。
「今年は11日から16日まで行けそう」
さらに、「14日は久しぶりに夫婦で出かけたいから、子どもたちをお願いしてもいい?」と続きました。
恵美子さんは一度、「いいよ」と返信しかけました。しかし、手が止まりました。
孫に会いたくないわけではありません。それでも、5泊分の食事と洗濯に加え、丸一日2人の孫を預かる生活を想像すると、楽しみより先に疲れが浮かんだのです。
厚生労働省『2024(令和6)年国民生活基礎調査』によると、65歳以上の人がいる世帯のうち「三世代世帯」は6.3%です。1986年には44.8%でしたが、その割合は長期的に低下しています。親世代と子世代が別々の世帯で暮らすなか、帰省時だけ生活人数が一気に増える家庭もあるでしょう。
その日の夜、恵美子さんは修さんに言いました。
「こんなこと言ったら悪いけど、今年は帰ってこないでほしいくらい」
