高級車を“実質1割”で毎年乗り換えるスキーム
この課税の繰り延べという性質を利用し、毎年新しい中古車への買い替えをループさせることで、実質1割程度の少ない負担で高級車を維持し続けるサイクルを作ることができます。具体的な手順は以下の通りです。
2. 1年間事業で使用しながら減価償却を進め、その年の決算で購入費用の全額を経費化する。
3. 翌期の期首になったタイミングで、その車両を売却し、同時に別の3年10ヵ月経過した中古車に買い替える。
この運用を行うと、前の車両を売却したことで発生する「売却益」と、新しく購入した車両の「減価償却費(経費)」が相殺されます。前の車両を900万円で売却し、次の車両を1,000万円で購入した場合、差額である100万円の実質的な追加負担だけで、次の高級車に乗り換えることができます。
1,000万円の価値を持つ高級車を、毎年100万円の手出しだけで乗り換え続けられるため、実質1割のコストで維持するループが可能となります。
税務調査で否認されないための「3つの注意点」
このスキームを実践するにあたり、税務調査において指摘や否認を受けないための注意点が3つあります。
1. 減価償却費の「月割り計算」のルール
1年で全額を経費にできるのは、あくまで事業年度の最初の月に購入して事業で使い始め、丸々1年間使用していた場合に限られます。日本の税法では、減価償却費は所有して使用した月数に応じて月割りで計算することが義務づけられています。
仮に決算の1ヵ月前に慌てて1,200万円の中古車を購入して使い始めたとしても、その期に経費にできるのは12分の1である100万円のみです。残りの1,100万円は翌期以降の経費となり、今期の利益を今すぐ圧縮したいという目的としては意味をなしません。ただし、購入時に支払う消費税については年単位で一括して計算されるため、購入時に一括して仕入れ税額控除を受けることができ、消費税を抑える効果は期待できます。
2. 経費化が認められる「供用の開始日(納車日)」の定義
減価償却を開始できるのは、お金を支払った日や契約を結んだ日ではなく、車両が実際に手元に届いて事業のために使い始めた日(納車日)からとなります。昨今は人気車種の納車に時間がかかることも多いので、決算日までに納車が間に合わなければ、その期の経費として計上することはできません。そのため、スケジュール管理を徹底する必要があります。
3. 事故リスクと車両管理
売却時の高い価値を前提としているため、事故を起こして修理歴(修復歴)がついてしまうと、リセールバリューは著しく低下し、全体の計画が崩れてしまいます。安全運転を徹底し、車両を綺麗に維持管理することが大前提です。
