2026年7月24日、大規模災害時に首都機能を代替する「副首都」の指定を可能にする副首都法が参議院で可決・成立しました。法案審議では「大阪ありき」との見方もありましたが、成立後には北海道や愛知、福岡など複数の道府県が申請の検討を表明しています。その陰で、地方財政を巡っては、埼玉・千葉・神奈川3県が、東京都と神奈川県(川崎市)の間に生じている「多摩川格差」と同様の行政サービス格差の是正を繰り返し国に求めるなど、税源の偏在是正が大きな焦点となっています。本稿では、副首都法の成立とその余波、「多摩川格差」に象徴される税源偏在是正を巡る知事たちの動き、2027年4月に予定される食料消費税1%への引き下げに伴う地方財政への影響を整理します。
東京都に集中する税収をどう是正するのか
東京都の小池知事は2025年12月12日、政府・与党が都市と地方の税収偏在を是正する仕組みの拡大を検討していることに対し、反発する姿勢を示しました。
東京都に集中する税収を地方にどこまで移すのかという問題は、東京都にとっては財源の問題である一方、地方自治体にとっては行政サービスを維持するための重要な問題です。
さらに、2027年4月から実施が予定されている食料品の消費税1%への引き下げに伴い、地方消費税の減収をどのように補填するのかという問題もあります。
地方消費税は地方自治体にとって重要な財源であるため、消費税率の引き下げが実施されれば、地方財政への影響をどのように調整するかが課題となります。
「副首都」は東京一極集中の是正につながるのか
こうした地方財政をめぐる問題を考えるうえで、今回の副首都法は別の意味でも注目されます。
副首都法の直接的な目的は、首都東京が大規模災害などによって機能を維持できなくなった場合に備え、首都中枢機能のバックアップ体制を整備することです。
法律では、大規模災害時に首都中枢機能の全部または大部分を代替する機能を担い、同時に「多極分散型経済圏」の形成の中核となる道府県を「副首都」と位置付けています。
国会審議では、制度設計が「大阪ありき」ではないかとの議論もありました。しかし、法律成立後は、北海道など複数の地域が副首都の指定に向けた検討を始めています。
国際課税研究所首席研究員 博士(会計学)。
中央大学大学院商学研究科修士課程修了。昭和50年東京国税局に勤務、平成2年退職。産能短期大学助教授、日本大学商学部助教授、教授を経て平成14年中央大学商学部教授(平成30年退職)。税務大学校講師、専修大学商学研究科非常勤講師、慶應義塾大学法学研究科非常勤講師、新潟産業大学経済学部非常勤講師、武蔵大学経済学部非常勤講師を歴任。
著書に『国際課税と租税条約』(ぎょうせい、第1回租税資料館賞受賞)、『租税条約の論点』(中央経済社、第26回日本公認会計士協会学術賞)、『移転価格税制の理論』(中央経済社) 、『詳解日米租税条約』(中央経済社)など。
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