米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直し――日本企業の北米戦略に迫る転換点【国際税務の専門家が解説】

米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直し――日本企業の北米戦略に迫る転換点【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国が2026年8月22日、カナダからの輸入品に50%の追加関税を発動し、カナダも報復関税で応じる構えを見せています。米加間の貿易摩擦が激化する一方、2026年中には米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直し交渉も本格化しており、メキシコ・カナダを対米進出の拠点としてきた日本企業にとっても、サプライチェーンの見直しを迫られかねない重要な局面を迎えています。

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米加、関税報復の応酬へ

米国は2026年8月22日、合板、酒類、電気機器、ホッケー用品など、カナダからの数百品目、合計約200億ドル(約3兆1,800億円)相当の輸入品に50%の関税を発動しました。新たな関税は1930年関税法338条に基づくものです。

 

これに対して、カナダは、9月8日から、米国による関税と同額の報復関税を課すとカーニー首相が表明しました。

 

米国とカナダは、相互に重要な貿易国でありながら、貿易戦争に突入した様相です。この状況だけであれば、二国間の対立ですが、2026年中には、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しがあり、メキシコ・カナダ両国を対米進出の基地としている日本企業にとって、無関係というわけにはいかない事態です。

マキラドーラ、NAFTA、IMMEX──基礎用語の整理

以下は、メキシコ方面からの経済活動と使用される用語を解説します。

 

① マキラドーラ

1965年に制度が始まり、電機や自動車関連に広がったもので、米国から部品や原材料を持ち込み、メキシコで組み立てて主にアメリカへ輸出する仕組みとして発展しました。

 

米国企業にとってはメキシコの安い人件費を活用でき、メキシコ側にとっては雇用増進につながることから、メキシコに持ち込む部品等を保税状態にする等の措置が取られました。この制度は、米国とメキシコ双方に利点のあるものでしたが、後発の日本、韓国、中国企業等が利用を拡大しました。

 

NAFTA(北米自由貿易協定)が発効されたことによりマキラドーラは成長を加速させました。発効前の5年間の伸び率が47%だったのに対し、発効後の5年間では86%の伸び率となりました。

 

マキラドーラ企業に適用される特別な課税ベースは、操業に供される固定資産総額の6.9%あるいは操業費用総額の6.5%のうちどちらか大きい方で計算されます。なお、この計算には移転価格税制のルールの適用はありません。

 

② NAFTA(北米自由貿易協定)

NAFTAは、米国、カナダ、メキシコの3カ国が1994年に発効させた北米自由貿易協定です。域内の関税引き下げや貿易・投資の拡大を進めることで、北米を一体的な経済圏として発展させる役割を果たしました。

 

その後、NAFTAは見直され、2020年7月1日にUSMCAが発効したことで、NAFTAに置き換えられました。

 

③ IMMEX(製造・マキラドーラ・輸出サービス産業)

IMMEXは、2006年に従来のPITEX(輸出向け製品の製造に必要な原材料等の一時輸入制度)と前出のマキラドーラ制度を統合したものです。

 

現在のメキシコにおける輸出型製造業にとって重要な制度の一つであり、日本企業を含む海外企業がメキシコを生産・輸出拠点として活用する際にも重要な意味を持っています。

 

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