内閣府の『令和7年版高齢社会白書』によると、今後の生活で経済的な不安を抱く理由として、「物価が上昇すること」を挙げる高齢者は74.5%と圧倒的最多を占めています。また、そうした家計のやりくりや今後の収入不安への具体的な対応策として、54.3%が「節約等により支出を減らす」と回答し、地道に日々の支出を削って生活を守っているのが実態です。このように、家計をやりくりしている親世代にとって、子世代ファミリーの帰省によって生じる出費は、決して小さなものではありません。事例を見ていきましょう。
「孫はもう十分です…」お盆の息子一家の滞在5日間、去ったあとに1週間布団から起き上がれない71歳祖母の悲鳴 (※写真はイメージです/PIXTA)

「もう、なにを作ればいいかわからない」

年金とわずかな蓄えで、夫とともに暮らしている71歳のミヨさん(仮名)。普段の食費や光熱費は最小限に抑えて生活していますが、今年のお盆は少し状況が違いました。都内に住む息子夫婦と孫二人が、3日間にわたって帰省することになったのです。

 

これまでは日帰りか、1泊2日程度の短い滞在が多く、それならばなんとか乗り切れていました。しかし、「今年は嫁との休みを合わせられた!」と息子から連絡があり、初めて3日間の帰省となってなのです。少し長めの滞在は、スタート直後からミヨさん夫婦の体力とお財布をじわじわと削っていきました。

 

なによりミヨさんを悩ませたのが「食事の準備」です。成長期の孫たちは肉や揚げ物を好みますが、アレルギーや好き嫌いがあり、大人の献立と一緒にはできません。

 

「なにを作れば喜んでくれるだろうか」と連日頭を抱え、大人用と子ども用で別々の料理を用意することに。食材の買い出しだけで1回に1万円近くが飛び、連日のエアコンフル稼働や庭のホースで子どもたちが遊ぶ水道代も含め、数日間の滞在費用は瞬く間に数万円規模へ膨らんでいきました。毎食の献立はすぐにネタ切れとなり、ミヨさんは早々に追い詰められていきました。

勝手に開けられた冷蔵庫

滞在が長くなるにつれ、家族同士の距離感にも変化が生じはじめました。

 

息子の嫁も義実家に少し慣れてきたのか、台所に立つミヨさんの横で、見られたくない冷蔵庫の中身を勝手に開けて食材を探す場面が。生活感の出やすいプライベートな空間を覗かれることに、ミヨさんは強いストレスと抵抗感を覚えます。

 

そのことを息子に「あまり冷蔵庫の中まで見られたくなかったのだけど……」と控えめに伝えたところ、息子からはこんな返答が。

 

「母さんを手伝おうとしてくれただけだよ。せっかく気を遣ってくれたのに、そんな言い方しなくてもいいじゃない」

 

よかれと思ってやった行動だとしても、受け取る親にとっては境界線を越えられた不快感が残ります。息子の無理解な対応も手伝い、ミヨさんの心にはモヤモヤとした徒労感が溜まっていきました。ずっと部屋中を爆音で流れる孫のYouTubeの音声にも、頭が痛くなってきました。