「次回の契約更新はいたしません」管理会社から突然の“撤退通告”…管理費削減を優先したマンションの末路【マンション管理士の助言】

「次回の契約更新はいたしません」管理会社から突然の“撤退通告”…管理費削減を優先したマンションの末路【マンション管理士の助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

国土交通省の『令和5年度マンション総合調査』によると、別の管理会社へ変更したマンションは24.5%にのぼり、およそ4棟に1棟に達しています。これまでは組合側から変更するケースが中心でしたが、近年は人手不足などを背景に、管理会社側から「撤退」を通告されるケースが急増しています。本記事では、「捨てられるマンション」の末路と今後の管理組合に求められる対応について、マンション管理士の松本洋氏が解説します。

【マンション管理士の助言】管理会社の変更は“対症療法”…資産価値を守るために必要な視点

このマンションの資料を確認すると、管理会社の撤退以前から、Aさんたち管理組合自身が多くの課題を抱えていました。

 

長期修繕計画は15年前のまま更新されず、修繕積立金も国土交通省のガイドラインを下回っていました。管理規約は竣工以来、一度も改正されず、必要な工事も「費用がかかる」という理由で先送りに。その結果、建物や設備の劣化が進み、管理計画認定制度の認定基準も満たしていなかったのです。

 

こうした問題は、管理会社を変更しただけでは解決しません。必要な修繕を実施するか、修繕積立金を見直すかを最終的に決めるのは管理組合だからです。

 

管理組合自身の意思決定に問題があれば、管理会社の変更は一時的な「対症療法」に終わってしまいます。

 

管理会社を長期的な協力相手に

もちろん、管理委託費や業務内容を検証し、不要な支出を見直すことは必要です。しかし、価格だけを基準に必要な業務まで削れば、管理の質が低下し、建物や設備の劣化につながります。

 

管理会社が管理員や清掃員、フロント担当者を配置し、安定したサービスを提供し続けるには、適正な利益が必要です。管理会社の利益を削ることが、そのまま管理組合の利益になるとは限りません。

 

マンション管理の主体は管理組合ですが、管理会社は日常管理や会計、設備点検などを担う重要な協力相手です。

 

管理会社に何をしてもらうかだけではなく、管理会社とどのような関係を築き、協力してマンションを維持していくか。管理会社の撤退が現実的な問題となった今、こうした視点を持つことが、マンションの管理水準と資産価値を守るうえで、ますます重要になっています。

 

 

松本 洋

松本マンション管理士事務所代表

 

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