「次回の契約更新はいたしません」管理会社から突然の“撤退通告”…管理費削減を優先したマンションの末路【マンション管理士の助言】

「次回の契約更新はいたしません」管理会社から突然の“撤退通告”…管理費削減を優先したマンションの末路【マンション管理士の助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

国土交通省の『令和5年度マンション総合調査』によると、別の管理会社へ変更したマンションは24.5%にのぼり、およそ4棟に1棟に達しています。これまでは組合側から変更するケースが中心でしたが、近年は人手不足などを背景に、管理会社側から「撤退」を通告されるケースが急増しています。本記事では、「捨てられるマンション」の末路と今後の管理組合に求められる対応について、マンション管理士の松本洋氏が解説します。

管理費削減を優先した結果…管理会社が「撤退」を決断したワケ

なぜ、Aさんのマンションは撤退を通告されてしまったのでしょうか。実は、理事長であるAさんは「管理会社は利益ばかりを追求する存在だ」という考え方を持つマンション管理士の助言を強く信頼していました。

 

管理費を削減するため、管理会社に委託していた業務を大幅削減。点検や工事なども、そのマンション管理士と関係の深い建築事務所へ発注するようになりました。

 

その結果、管理会社の収益は大きく低下した一方で、対応の負担や責任は重いままです。さらに、Aさんたち理事会の運営にも外部業者が深く関与し、管理会社の業務と責任の範囲が不明確になっていきました。

 

最終的に、管理会社は「この条件では管理を継続することは困難」と判断し、契約を終了しました。

 

その後、別のデベロッパー系管理会社が、利益率の低い条件でも管理を引き継ぎましたが、現場の担当者からは「業務負担が大きくなりすぎるのではないか」と心配する声が上がっていました。

 

後任会社が見つかっても、採算の合わない契約条件や管理組合の姿勢が変わらなければ、再び撤退を申し出られる可能性があります。

「3ヵ月で後任を探す」という難題

国土交通省の『マンション標準管理委託契約書』では、「管理組合と管理会社のいずれも、相手方に対して少なくとも3ヵ月前に書面で解約を申し入れることにより、契約を終了できる」とされています。

 

撤退を通告されたAさんたち管理組合は、この短期間で後任候補を探し、見積もりや管理仕様を比較したうえで、理事会審議、総会決議、契約締結、業務の引き継ぎまで進めなければなりません。

 

しかし、すべての管理会社が見積もりに参加するとは限りません。採算性や人員配置に問題があると判断され、見積もりを断られることもあります。十分に比較しないまま後任を決めれば、新たな問題が生じるおそれもあります。

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佐伯 知哉

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