「都会は人が多すぎる」「もっと自然に囲まれて暮らしたい」――。そう考え、長年暮らした都市部を離れて地方へ移住するシニア世代は少なくありません。しかし、実際に暮らしてみると、家や気候、交通事情だけでなく、思いがけないところで都会との違いを感じることもあるようです。

「海の見える家で暮らそう」――夫の定年を機に移住を決断

「老後は、都会を離れて暮らしてみよう」

 

東京都内で暮らしていた陽子さん(仮名・65歳)は、夫婦で定年を迎えたのを機に、老後の住まいについて話し合うようになりました。駅に近く、買い物にも病院にも困らない。現在の暮らしは便利そのものです。

 

しかし、「海に近い場所での暮らしに憧れる」――そんな夫の言葉をきっかけに、島への移住を具体的に考え始めました。子どもも手離れし、夫婦2人だけ。老後をもっと自由に生きたいと考えたのです。

 

候補地をいくつか訪ね、最終的に決めたのは瀬戸内海に浮かぶ小さな島です。夫婦には、預貯金や投資など約2,000万円の金融資産があり、マンションを売却すれば5,800万円ほどになる見込み。年金も夫婦で月24万円でした。

 

「老後資金にはある程度余裕がある。せっかく移住するなら快適な家にしよう。ここが“終の棲家”だしね」

 

夫婦が島で見つけたのは、築20年ほどの平屋。庭もあり、海までは歩いて数分。価格は1,400万円。水回りの交換や内装、給湯設備などを中心に約400万円をかけてリフォームをしました。

 

こうして、憧れの島暮らしをスタートさせた2人。ところが移住すると、さまざまな戸惑いに直面することになったのです。

 

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