兄・姉からの「衝撃的な言葉」
母は86歳になり、要介護度は3になりました。母の年金は月10万円ほどで、医療費や日用品代の補填で、里美さんの立て替え費用も膨らむ一方でした。
「これ以上、私が見てあげることはできない」
里美さんは、夫や兄姉とも話し合い、空きが出た特別養護老人ホーム(特養)へ入所させる決断をします。しかし入所当日、施設の一室で、母は涙をこぼしながら、こう呟いたのです。
「私を捨てる気なの? 家に帰りたい……」
里美さんが罪悪感で立ち尽くした、その時。横から兄と姉の冷ややかな声が飛んできました。
「お袋がこんなに嫌がってるのに、見捨てて放り込むなんて……ちょっと酷いんじゃないか」
「途中で介護を投げだしたのね。だったら、遺産を全部渡すこともできなくなるわ」
3年間、自分の生活もパート収入も削り、持ち出しで母を支え続けてきた里美さん。それなのに、何もしてこなかった兄姉が、遺産を均等に分けると言い出したのです。
遺産は原則、法定相続分に応じて分けることになります。ただし、相続人のなかに、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした人がいれば、「寄与分」が認められる可能性があります。きょうだい間の話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立て、解決を図ることになります。
母の介護が元で、まさかこんな事態に陥るとは――里美さんは項垂れます。
「そもそも、母を施設に入れることには同意してたんですよ。それなのに、『母をないがしろにした』『楽をするために施設に入れた』と言い張って、遺産を受け取ろうとしているんです。……私がしてきた苦労って、一体何だったのでしょうか?」
