労務トラブルは「報告」がなければ外部に噴出する
山下顧問:それは重大な誤解です。「通報ゼロ=リスクゼロ」ではありません。むしろ、通報制度が機能していない証拠かもしれません。今回のSNS炎上は、内部で声を上げる場がなかったから、外部に出てしまったのですね。
田中監査役:そうです。測定(M)で問題を可視化し、統制(C)で制度を整えても、報告(R)がなければ経営判断ができません。MCRIサイクルの『R(報告)』と『I(改善)』が回っていないのです。
加藤社長:つまり、せっかく労働時間を可視化し、人員配置を改善しても、新たな問題が経営者に伝わらなければ意味がないということですね。
山下顧問:まさにそのとおりです。特に、M&A先の拠点では、当社の労務管理の仕組みが浸透していない可能性があります。報告体制を整備し、定期的な改善プロセスを確立する必要があります。
加藤社長:わかりました。今回の件で、2つのことが明らかになりました。
第一に、統制(C)だけでは不十分だということ。報告(R)の仕組みがなければ、問題は潜在化する。第二に、M&A先の労務管理が盲点になっていたということ。本社の仕組みを、M&A先にも展開する必要がある。
林さん、48時間以内に是正計画を提示してください。
林労務責任者:承知しました。顧問社労士と顧問弁護士に相談しながら、計画を策定します。
田中監査役:これを機に、労務管理を継続的改善のサイクルに乗せましょう。測定(M)→統制(C)→報告(R)→改善(I)。このサイクル全体を機能させることが、経営労務の本質です。
金山 杏佑子
社会保険労務士事務所ヨルベ
代表社会保険労務士
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