多忙な経営者に伝えたい…労務リスクの大部分をカバーできる「たった3つの労務の本質」【社労士が解説】

多忙な経営者に伝えたい…労務リスクの大部分をカバーできる「たった3つの労務の本質」【社労士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

未払い残業代、ハラスメント問題、雇止めなど、労務のリスクは多岐にわたります。一見複雑に見える労務の知識ですが、経営者が押さえるべき労務の本質は「日本型雇用の制約」「安全配慮義務」「簿外債務リスク」の3つに集約されます。著書『対話でわかる「経営労務」』(中央経済社)より、それぞれのポイントを、社会保険労務士の金山杏佑子氏が解説します。

(3)簿外債務リスクを制御すること

労務には、貸借対照表に現れない「簿外債務」が潜んでいます。未払残業代や退職金の積立不足、社会保険の加入漏れ、偽装請負発覚による遡及対応。これらは、財務諸表上は見えませんが、法的には確実に存在する債務です。

 

簿外債務が一度に顕在化すると、企業の財務を直撃します。150名規模の企業でも、半数の従業員に月10時間の未払残業が3年間あれば、数千万円に達します。

 

決算書を見て「利益が出ている」と思っていても、実は数千万円の債務を抱えている。こうした状況は、決してめずらしくありません

 

さらに、未払賃金の消滅時効は、将来的に5年に延長されます※1。つまり、簿外債務のリスクは、今後さらに拡大していきます。

※1 法令上は5年ですが、経過措置として「当面の間」3年とされています

 

この3つは、それぞれ独立しているようで、実は深く関連しています。日本型雇用の制約(1)があるからこそ、安全配慮義務(2)が重くなります※2。簡単に解雇できないのであれば、従業員の健康を長期的に守らなければならない。そして、この2つを怠れば、簿外債務(3)が積み上がっていきます。

 

逆に言えば、この3つを押さえることで、労務リスクの大部分をカバーできるのです。膨大な労働法規や複雑な制度に圧倒される必要はありません。この3つの本質に立ち返れば、何が重要で、何を優先すべきかが見えてきます。

 

※2 法的な因果関係を意味するものではなく、経営実務上、相互に関連する論点として捉える必要があるという趣旨です。

 

出典:『対話でわかる「経営労務」』(中央経済社)より抜粋
[図表]労務の本質3つ 出典:『対話でわかる「経営労務」』(中央経済社)より抜粋

 

 

金山 杏佑子

社会保険労務士事務所ヨルベ

代表社会保険労務士

 

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※本連載は、金山 杏佑子氏の著書『対話でわかる「経営労務」』(中央経済社)より一部を抜粋・再編集したものです。

対話でわかる「経営労務」

対話でわかる「経営労務」

金山 杏佑子

中央経済社

労務論点に「どこから着手する」がわかる。複雑な労務をM(測定)C(統制)R(報告)I(改善)のステップで整理し、制度設計、リスク許容の程度等の判断ポイントを示す。 本書『対話でわかる「経営労務」』では、労務論点に…

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