膨大な荷物を前に呆然…妹の転居で空き家になった実家、70代男性が〈約300万円の費用負担なし〉で売却できたワケ【相続実務士が解説】

膨大な荷物を前に呆然…妹の転居で空き家になった実家、70代男性が〈約300万円の費用負担なし〉で売却できたワケ【相続実務士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「荷物の片付けや建物の解体のために、何度も実家へ通うのは難しい。できれば、このまま手放したい」──。そう話すのは、遠方に暮らす70代の男性です。相続した実家には離婚した妹が長年住んでいましたが、転居したことで空き家となり、家具や生活用品などが大量に残されました。建物の老朽化も進み、解体費や残置物の撤去費、今後の管理負担も懸念されます。高齢で体調にも不安を抱える相談者は、片付けや解体をせず、できるだけ負担なく実家を手放すことができたのでしょうか。相続実務士・曽根惠子氏が、実例をもとに解説します。

大量の荷物と老朽化した建物…高齢の相談者を悩ませた7つの課題

①妹が長年居住していた実家を整理したい

②空き家となった建物の管理負担をなくしたい

③大量の残置物を処分しなければならない

④解体費や測量費などの支出が予想される

⑤高齢で体調面にも不安があり、現地対応が難しい

⑥できるだけ高く売却したい

⑦売却後のトラブルも避けたい

片付けも解体もせずに売る「不動産会社オークション」を提案

相談者が最初に考えていたのは、一般的な売却方法でした。

 

しかし、現地を確認すると、

 

・築年数が古い

・室内に荷物が多い

・売主は遠方居住

・建物の状態を詳細に把握していない

 

という状況でした。

 

一般の個人へ売却する場合、荷物の撤去や建物の補修を求められる可能性があります。また、売却後に設備不具合などの問題が発生すれば、売主が対応を求められるケースもあります。相談者にとって、そのような負担は現実的ではありませんでした。

 

そこで、一般仲介ではなく、不動産会社によるオークション形式での売却をご提案しました。当社が複数の不動産会社へ物件情報を提供し、「いくらで購入できるか」「どのような条件なら購入できるか」を提示してもらう方法です。

 

通常の仲介は、売主が価格を決めて買主を探します。

 

一方、当社のオークション方式は、購入を希望する不動産会社に競争してもらい、それぞれ購入希望額を提示してもらいます。

 

そのうえで、

・提示価格
・残置物の取り扱い
・解体の要否
・測量の要否
・契約条件
・引き渡し条件

 

などを比較し、当社と売主が相談しながら、最も有利な会社を選定します。

 

今回のケースでは、

 

「建物も荷物もそのまま引き受けること」「売主が追加費用を負担しないこと」「契約不適合責任を免責とすること」

 

を重視して交渉を進めました。

荷物を残したまま1,600万円で売却、約300万円の支出も不要に

オークション方式によって、複数の不動産会社から購入希望額が提示されました。その結果、建物や荷物をそのまま引き受ける条件で購入する会社が見つかりました。

 

売却価格は1,600万円。相談者は荷物を片付ける必要もありません。建物を解体する必要もありません。測量や各種手続きについても、最小限の負担で済みました。

 

一般的には、今回のようなケースでは、

・建物解体費 約150万円~200万円
・残置物撤去費 約50万円~100万円
・確定測量費 約50万円前後

 

が必要になることがあります。

 

合計すると、300万円程度の支出になる可能性がありました。

 

しかし今回は現況のまま売却できたため、それらの費用を不要にできたのです。単純に1,600万円で売却できたというだけではありません。本来支払う予定だった約300万円も節約できたことになります。経済的効果としては、非常に大きな成果でした。また、相談者が何より喜ばれたのは、精神的な負担から解放されたことでした。

 

固定資産税の心配がなくなる。火災保険の更新を考えなくてよい。台風や地震のたびに建物の心配をしなくてよい。空き家の管理を考えなくてよい。そして、長年続いていた妹との使用貸借の問題も、円満に整理することができました。

 

相談者からは、

 

「ようやく肩の荷が下りました」「妹のことも整理できて安心しました」「荷物もそのままで売れるとは思いませんでした」「体調的にも本当に助かりました」

 

という言葉をいただきました。

「片付けてから売る」という思い込みを捨て、家族と暮らしの負担を解消

空き家相談で、多くの方が誤解していることがあります。それは、「片付けてから売らなければならない」「解体してから売らなければならない」という思い込みです。もちろん、物件によってはそのほうが有利な場合もあります。しかし、高齢者や遠方居住者の場合、その準備作業自体が大きな負担になります。

 

今回の相談者が求めていたのは、最高値で売ることではありませんでした。そこで、不動産だけを見るのではなく、家族関係、健康状態、居住地、管理負担、時間的負担、経済的負担まで含めて、最適な方法を考えました。

 

結果として、オークション方式によって複数の不動産会社を競争させ、売主にとって最も有利な条件を引き出すことができました。

 

相続対策とは、単に税金対策ではありません。家族の負担を減らし、安心して次の人生へ進める環境を整えることです。

 

今回の事例は、「空き家問題」「残置物問題」「使用貸借問題」「高齢者の管理負担」を同時に解決した好事例となりました。

 

 

 

曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®

株式会社夢相続 代表取締役

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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