「荷物の片付けや建物の解体のために、何度も実家へ通うのは難しい。できれば、このまま手放したい」──。そう話すのは、遠方に暮らす70代の男性です。相続した実家には離婚した妹が長年住んでいましたが、転居したことで空き家となり、家具や生活用品などが大量に残されました。建物の老朽化も進み、解体費や残置物の撤去費、今後の管理負担も懸念されます。高齢で体調にも不安を抱える相談者は、片付けや解体をせず、できるだけ負担なく実家を手放すことができたのでしょうか。相続実務士・曽根惠子氏が、実例をもとに解説します。
妹のために実家を無償で提供するも、8年後に空き家に
今回ご相談いただいたのは、70代の男性です。8年前に母親が亡くなった際、相続手続きのサポートをさせていただきました。
ご両親が亡くなったあと、相談者は実家を相続しましたが、大学卒業後、就職を機に実家を離れ、長年にわたって別の地域で生活していました。
ご本人が実家に戻る予定はありませんでしたが、相続後すぐに空き家になることもありませんでした。離婚した妹が約10年前に実家へ戻り、母親が亡くなったあとも、そのまま住み続けていたためです。実家は相談者名義とし、妹は母親の金融資産を相続していました。
相談者には、兄として妹の生活再建を支援したいという思いがありました。そのため、家賃を受け取ることなく、妹を実家に住まわせていました。きょうだいということもあり、家賃を受け取るという発想自体がなかったそうです。
当初は、ほどなく実家を出る約束だったようですが、母親が亡くなってから8年が経過。建物が古くなり、雨漏りなども起き始めたことから、妹は近隣のアパートへ転居することになりました。
これにより実家は空き家となりましたが、新たな問題が生じました。
築年数の古い建物には、家具や本棚、生活用品など、多くの荷物が残されたままだったのです。相談者は、妹が住んでいる間に両親の荷物を処分してくれるのではないかと期待していましたが、ほとんど手つかずの状態でした。
相談者は遠方に住んでおり、体調面にも不安がありました。
「片付けのために何度も通うことは難しい」「解体工事や荷物処分の手配もできない」「できれば現状のまま処分したい」
そのような状況だったのです。
さらに、空き家になったあとも固定資産税や火災保険の支払いは続き、今後は管理のために現地へ通わなければなりません。
相談者は、「妹が住んでいた間は仕方がなかったが、これ以上負担を抱え続けるのは難しい」と感じ、相談に来られたのでした。
資産構成
・実家土地建物(空き家)
・預貯金はすでに相続済み
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
一般社団法人相続実務協会 代表理事
一般社団法人首都圏不動産共創協会 理事
一般社団法人不動産女性塾 理事
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書86冊累計81万部、TV・ラジオ出演358回、新聞・雑誌掲載1092回、セミナー登壇677回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2025年版 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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