「何のための仕送りか」…忘れてはならない“当たり前の前提”
厚生労働省の「令和4年国民生活基礎調査」によると、定期的に仕送りをしている世帯は全体の2.1%。この数字には親から子への仕送りなども含まれるため、子どもが老親を支えるケースに限定すると、さらに限られた割合になります。
定期的な仕送りの金額(月額)のデータをみると、平均は約5万6,000円。最も多いボリュームゾーンは「2万〜4万円」で29.9%となっています。長男が修造さんに送っていた月5万円はまさに平均前後。仕送りをする側の現役世代にとって決して少ない負担ではありません。
「毎月当たり前に振り込んでくれたから、息子の生活を犠牲にしているという事実を忘れて『自由に使えるお金』だと勘違いしてしまったんです」
修造さんもそう振り返るように、仕送りは生活が成り立たないときの補助であり、自由に使える余裕資金ではありません。見栄や世間体のために使っている姿を見せれば、援助している側が「こちらの犠牲は何なのか」と不信感を抱くのは当然と言えます。
後日、修造さんは孝太郎さんの自宅へ赴き、腰を深く折って謝罪。仕送りの辞退を自ら申し出ました。家賃の安い市営住宅への入居申請を進めつつ、70代でも働ける求人を探しています。
「自分が甘えていたんです。これからは自分の身の丈に合った暮らしをして、1円でも多く自分で稼いで、今まで孝太郎からもらった仕送りを少しずつでも返していきたい」
そう語る修造さんの目には、かつての見栄ではなく、自分の足で立ち直ろうとする静かな覚悟が宿っていました。
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