年金月8万円…毎月5万円の仕送りが命綱
「なぜ勘違いをしてしまったのか……本当に申し訳ない」
古い賃貸アパートの居間でそう肩を落とすのは、独居生活を送る修造さん(仮名・71歳)。5年前に長年連れ添った妻を亡くし、現在は一人暮らしをしています。
若い頃、20代前半から数年間は会社員として働き、その後は建設現場の一人親方として独立。当時は「腕一本で食べていく」という気概も強く、仕事仲間との付き合いを大切にする一方、老後への備えや年金制度への意識は決して高くありませんでした。国民年金には加入していたものの、納付していない時期もあったといいます。
その後、バブル崩壊による仕事減や道具代・車両ローンの支払いで貯蓄を取り崩し、65歳で引退した時には、手元に蓄えはほとんど残っていませんでした。受給できる年金は、過去の短い会社員時代の厚生年金と合わせて、月約8万円です。
家賃5万円を払えば、残るのはわずか3万円。食費や光熱費を払えばほとんど残りません。そんな修造さんを支えてきたのが、隣県で妻と娘と暮らす一人息子・孝太郎さん(38歳)でした。
「父さん、俺が仕送りするから」
孝太郎さん自身も子育ての真っ最中。住宅ローンや教育費を抱えながら、それでも父を見捨てることはできない――そんな思いから、毎月5万円を送り続けていたのです。
修造さんは、その仕送りを生活の支えにしながら暮らしていました。一方で、毎日の楽しみは近所の将棋サークル。同年代の仲間と盤を囲み、ときには帰りに居酒屋へ立ち寄る時間は、かけがえのないひとときでした。
「俺にも付き合いってもんがある」――そんな気持ちから、修造さんは仲間との飲み代を自分が払うことが少なくありませんでした。「親方だった修造さんらしい」と周囲から慕われることが、どこか誇らしかったのです。
