警察官が多い街は犯罪が多い?
「警察官が多い街は犯罪が多い」としても、だから警察官を減らそう、という話にはならないでしょう。「犯罪が多い街は積極的に警察官を雇うし、犯罪が少ない街は同じ予算で公園を作る」ということならば、犯罪数が親で警察官数が子だからです。
実は、因果関係がもう1つあります。人口が多いから犯罪が多い、大きな街だから警察官が多い、ということだと、人口が親で、犯罪数と警察官数はきょうだいだ、ということになりますから。もっとも、これについては、人口1,000人あたりの警察官数と人口1,000人あたりの犯罪者数を比べれば良いのです。それによって、議論を単純化することができるでしょう。
株価が「景気の先行指標」と言われるのはなぜ?
株価が上がってしばらくすると景気が良くなる、と言われています。「子が親より先に生まれるはずがないから、株が景気を動かしているのだ」と考える人もいるでしょうが、日本の景気を長い間見てきた筆者には、そういうことは考えにくいです。
人々が景気の回復を予想すると、人々が株を買うので、株価が上がります。人々の景気の予想が当たると、株価が上がった後に景気が回復することになります。しかし、原因は景気(の予想)であって、なんと「株価は結果なので、親より先に子が生まれている」わけですね(笑)。
病院が多い街は入院が多い? 病院が少ない街は長生き?
「病院が多い街ほど入院が多く、病院が少ない街ほど人々が長生きする」といったこともあり得るでしょう。その場合「病院が少ないと入院したくてもできない人が多い」という理由も思いつきますが、それだと病院が少ない街の人が長生きするという理由が思いつきません。
もしかすると、病院が多いと、「軽症の患者にも不必要な入院を勧める」という不埒な医者が出てくる、ということがあるかもしれません。「供給が需要を作り出す」というのはどこかで聞いたことがある話ですね(笑)。もっとも、ほとんどの医師は真面目に働いていると思うので、これも多分違うのでしょう。
実際にありそうなのは、「病弱な人は病院の多い街に引っ越して行き、病院の少ない街には健康な人だけが残る」ということでしょう。それなら、病院が多い街ほど入院が多く、病院が少ない街ほど長生きする人が多い、というのも納得がいきますね。財政再建論者の方々も、決して「皆を長生きさせるために病院を減らそう」などと考えないでほしいです。
では、「日本ではがんで亡くなる人が多い。がんの治療が遅れているからだ」というのはどうでしょう。日本ではがんで亡くなる人が多い、という話は聞いたことがありますが、日本のがん治療が低水準だ、という話は聞きません。
おそらく、「日本では医療の水準が高いので、がん以外の病気はほとんど治ってしまい、多くの人ががんになるまで生きている。だから、がんで亡くなる人が多い」のでしょう。今後、がんも治るようになっていくと、日本人全員が認知症になるまで生きているようになるかもしれません。そうなっても、日本の認知症治療が遅れているから、というわけではないでしょう。
今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。
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塚崎 公義
経済評論家
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