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問題は、世代間不公平より「世代内不公平」のほう
財政赤字(政府の借金)は次世代に借金を払わせるので世代間不公平だ、という人がいます。しかし、それは視野の狭い考え方です。日本人の家計金融資産は政府の借金額を上回っているので、子どもたちの代が受け取る遺産のことも含めて考えれば、世代間不公平は存在しないのです。
したがって筆者は、無理をしてまで財政赤字を削減すべきだとは考えていません。加えて、少子高齢化で労働力希少となれば、増税しても失業が増えない時代が来るので、その時に増税すればよい、とも考えています(拙稿『日本政府の財政、巨額の赤字を抱えているが…それでも「破綻のリスクは極めて低い」といえるワケ【経済評論家が解説】』を併せてご参照いただければ幸いです)。
しかし一方で、景気を悪化させることなく増税できるなら、増税すべきだと考えています。その意味で、筆者は固定資産税の増税と相続税の増税を主張していますが、固定資産税については拙稿『多額の財政赤字、東京一極集中・多発する自然災害…日本の厳しい実情を「固定資産税増税」が打開する可能性』で論じましたので、本稿では相続税について論じます。
余談ですが、財政赤字を減らそうと増税しても子どもたちは喜びません。増税に応じようと現在世代が預金を引き出せば、子どもたちが受け取れる遺産が減ってしまうからです。
問題なのは、世代間不公平ではなく、遺産が相続できる子とできない子の「世代内不公平」なのです。そうであれば、相続税を増税して世代内不公平を減らせばよいでしょう。
努力をした子が豊かに暮らせるというのであれば納得がいきますし、子どもたちが努力をするようになるでしょうから、経済にもよい影響が出るでしょう。しかし、遺産相続にはそうした効果は見込めないのです。強いて言えば、「子どもに遺産を遺したいから頑張って働く」という親がいないとは限りませんが。
理由① 相続税増税は「景気への影響」が小さい
親の財産を相続したらすぐに使ってしまう、という人もいるでしょうが、ある程度まとまった金額を相続すれば、老後のために貯蓄しておき、少しずつ取り崩す、という人も多いでしょう。
そうであれば、相続税を増税しても今年の景気に与えるマイナスの影響はかなり小さいといえそうです。所得税や消費税の増税が今年の景気を直撃して失業を増やしかねないことと比較すると、その面でも相続税の増税の方が好ましいといえそうです。
所得税等と比べて痛税感が少ない点も相続税のメリットです。懸命に働いて得た所得から税金を差し引かれる時の痛税感と比べると、「棚からぼた餅が落ちてきたけれど、期待していたより小さかった」といった程度でしょう。
「相続税の金額が小さいので、倍に増税しても大した効果はない」と考える人もいるでしょうが、筆者の考える増税はもっとずっと重いものです。イメージとしては「1億円を相続したら、その後10年にわたって1,000万円の所得があったと見なして所得税を徴収する」といったところでしょうか。
