「会社員には戻っていないが…」増えた予定と人とのつながり
その日をきっかけに、直人さんは地域の行事を時々手伝うようになりました。高齢者が多い地域だったこともあり、スマートフォンの設定を頼まれたり、自治会の資料をパソコンで作ったりすることもあります。
近所の男性からは、使わなくなった畑の一部を「好きに使っていい」と貸してもらいました。
「仕事だったら、効率が悪いとか時給にしたらいくらだとか考えていたと思います。でも今は、午前中に畑へ行って、午後に誰かのパソコンを見る。それで一日が終わっても悪くないんです」
収入になる活動も始めました。
以前の勤務先で培ったITスキルを生かし、知人から紹介された仕事を月に数時間だけ請け負っています。収入は月によって0円のときもあれば、数万円になるときもあります。
直人さんは生活費を年間200万円以内と決めていますが、投資資産が大きく下落した年には旅行などの支出を減らすつもりだといいます。
「FIREしたら一生安心、とは全然思っていません。数字は毎月確認します」
それでも、会社員に戻りたいとは今のところ考えていません。最近では、地域の子ども向けイベントでパソコンの使い方を教えてほしいと頼まれました。
「毎日が日曜日なのは今も同じです。でも、明日は畑に行くとか、XXさんのスマホを見に行くとか、予定はあります。給料は出ないけど、自分の出番がある。それが意外と大事でした」
生活費をどう賄うかに加えて、自由になった時間を何に使い、誰と関わり、自分なりの役割をどう持つのか。直人さんが地方で見つけたのは、資産額だけでは測れない「退職後の生活設計」でした。
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