「いつまでここにいるの?」5年目に母が初めて聞いたこと
隆司さんが実家へ戻って5年。ある日の夕食後、和子さんは思い切って尋ねました。
「隆司、いつまでここにいるつもりなの?」
隆司さんは戸惑った様子で答えました。
「急にどうしたの?」
「急じゃないよ。もう5年になるでしょう」
隆司さんは現在も働いています。ただし非正規雇用で収入が安定せず、一人暮らしへ戻るには不安があると話しました。
「俺が出ていったら、母さんも一人になるだろ。別にこのままでもいいんじゃない?」
その言葉に、和子さんは違和感を覚えました。
「私が心配だから一緒にいるのと、あなたが生活できないからここにいるのは違うでしょう」
和子さん自身も74歳になっています。家の修繕費だけでなく、将来的には介護や住み替えにお金が必要になるかもしれません。
内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、2023年時点で65歳以上の人がいる世帯は全世帯の49.5%。そのうち「親と未婚の子のみの世帯」は20.1%を占めています。高齢の親と成人した未婚の子が同居する家庭は、決して珍しい存在ではありません。
話し合いの結果、隆司さんは毎月5万円を生活費として家に入れることになりました。さらに、1年以内に今後の住まいをどうするか決めることにし、収入に見合う賃貸住宅や公的住宅なども含めて探し始めました。
和子さんも、これまでのように息子の支払いを安易に立て替えることはやめました。
「息子を追い出したいわけじゃないんです。でも、私のお金は息子が困ったときのためだけに残してきたわけではないですから」
成人した子どもの生活を親が一時的に支えることはあります。しかし親自身も年金生活に入り、収入が限られている場合、援助が長期化すれば老後資金を取り崩すことになります。「しばらく」のつもりで同居を始める場合でも、生活費の負担や期限をあらかじめ話し合っておくことが重要です。
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