「お母さん、私にはもう無理」…介護に尽くした娘の涙に78歳母、猛省。きっかけは、冷たい浴室の床に倒れ込んだ夜

「お母さん、私にはもう無理」…介護に尽くした娘の涙に78歳母、猛省。きっかけは、冷たい浴室の床に倒れ込んだ夜
(※写真はイメージです/PIXTA)

長寿化が進む日本では、介護はもはや一部の家庭だけの問題ではありません。しかし、家族の支えだけを前提にした介護は、介護する側の仕事や人生、そして親子関係までも追い詰めてしまうことがあります。今回は、一人娘を頼りに暮らしてきた78歳女性の事例を通して、「娘だから」「家族だから」という思い込みが招いた現実と、介護を抱え込まないために必要な備えについて見ていきましょう。

「もう無理…」一言に込められた娘の本心

奈緒さんは佐代子さんを支えるため、正社員を辞めて短時間勤務へ切り替えました。収入は減り、休日も通院や家事で終わる毎日。友人との約束を断ることも増え、「自分の人生は後回し」が当たり前になっていきました。

 

佐代子さんの年金は月15万円、預貯金は約1,000万円。介護ベッドや手すりの設置、住宅改修などで少しずつ貯蓄は減り、できるだけお金を使わないようにと、奈緒さんはサービス利用にも消極的になっていました。

 

そんなある日、寒い冬の夜でした。入浴をしようとしたときに、足がふらつき滑ってしまった佐代子さん。奈緒さんはとっさに支えようとしましたが、女性とはいえ全体重がかかった身体を支え切ることはできません。

 

「危ない!」

 

二人で浴室の洗い場に倒れ込むと、思わず佐代子さんは「しっかり支えてよ!」と声を荒らげてしまったのです。

 

その瞬間に零れたのが、「もう無理」という沈痛なひと言でした。

 

佐代子さんは奈緒さんを改めて見つめました。以前より痩せた顔。寝不足で目の下にできたくま。笑顔を見せなくなった娘。

 

「私は、この子に介護を任せることしか考えていなかった」

 

そう気づいたといいます。

 

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