OECDが進める「課税の公平」
こうした租税回避への対抗策として、各国は連携を強めています。中心的な役割を担っているのがOECDです。
OECDは、多国籍企業が利益を低税率国へ移転することを防ぐため、デジタル課税やグローバル・ミニマム課税(最低法人税率15%)の導入を進めてきました。
また、富裕層による海外資産の把握を目的として、各国税務当局が金融口座情報を自動的に交換する制度(AEOI)も整備されています。これにより、「海外なら税務署には分からない」という考え方は、もはや通用しにくい時代になっています。
「合法だから安心」とはいえない時代
租税回避は違法ではありません。しかし、その取引に経済合理性がなく、税負担を軽くすることだけを目的としていると判断されれば、税務当局から否認される可能性があります。
世界では現在、「課税の公平」を実現するための制度改正が急速に進んでいます。
企業や富裕層は専門家の助言を受けながら税負担の最適化を図り、一方で各国の税務当局やOECDは制度改正や国際協力によってその行き過ぎを防ごうとしています。
国際課税の世界は、まさに「税務プランニング」と「課税の公平」を巡る知恵比べの時代に入ったといえるでしょう。
海外資産や国際投資が身近になった現在、重要なのは「税金を減らせるか」だけではありません。その方法が各国の税制や国際ルールに照らして適切かどうかを理解し、長期的な視点で資産を守ることが、これまで以上に求められています。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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