(※写真はイメージです/PIXTA)

税金に関するニュースでは、「脱税」「租税回避」といった言葉が頻繁に登場します。しかし、これらは似ているようで意味は大きく異なります。特に富裕層や多国籍企業を巡る国際課税では、「違法な脱税」ではなく、「合法的な租税回避」が長年の課題となってきました。世界各国はタックスヘイブン対策やデジタル課税、最低法人税率の導入など、制度整備を急速に進めています。本記事では、『世界の税金はどうなっているのか 富裕層の相続戦略シリーズ【国際編】 』の著書がある矢内一好氏が、脱税と租税回避の違いを整理するとともに、国際社会で繰り広げられている「課税の公平」を巡る攻防を見ていきます。

国際的な租税回避を支える「タックスヘイブン」

租税回避は国内でも行われることがありますが、国境を越えることで選択肢は格段に広がります。その中心となるのが「タックスヘイブン(租税回避地)」です。

 

タックスヘイブンとは、法人税や所得税が課されない、あるいは極めて低い税率となっている国や地域を指します。

 

代表例として知られるのが、カリブ海にあるケイマン諸島です。英国の海外領土ですが、法人税や所得税がなく、多くの投資ファンドや持株会社が設立されています。このほかにも、法人税や所得税を課さない国や地域は世界に複数存在しています。

 

企業や富裕層は、こうした地域に持株会社や資産管理会社を設立し、利益や資産を移転することで税負担を軽くしようとしてきました。

 

もちろん、各国も対策を講じています。日本をはじめ多くの国では「タックスヘイブン対策税制(CFC税制)」が整備され、一定の条件を満たす海外子会社の利益については、自国で課税できる仕組みが設けられています。

世界を震撼させた「パナマ文書」

租税回避が世界中の注目を集める契機となったのが、2016年に公表された「パナマ文書」です。

 

パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の内部資料約1,150万件が流出し、世界各国の政治家、実業家、富裕層らがタックスヘイブンを利用していた実態が明らかになりました。

 

資料には1970年代から40年以上にわたる法人設立や資産管理に関する情報が含まれており、世界中で大きな波紋を呼びました。

 

その後も「パラダイス文書」「パンドラ文書」など同様の情報流出が相次ぎ、租税回避への国際的な監視は一段と強化されています。

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