消費減税「中間とりまとめ」案公表…消費税「実質ゼロ」案に温度差――最大の焦点は財源確保

消費減税「中間とりまとめ」案公表…消費税「実質ゼロ」案に温度差――最大の焦点は財源確保
(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年2月より検討が進められてきた国民会議実務者会議の「中間とりまとめ」原案が6月24日に示されました。原案では、2027年4月から食料品の消費税率を2年間限定で1%に引き下げるとともに、来年度中に1%分の所得に連動したきめ細かな給付を先行導入し、実質的な負担軽減を図る方針が明記されています。財源については、引き続き検討するとされています。

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各党の公約に見られた消費税負担軽減の流れ

2026年2月に実施された第51回衆議院選挙における各党の公約では、与党は食料消費税の期限付きゼロや給付付き税額控除の導入を掲げ、野党各党も消費税率の引き下げや軽減を主張しました。

 

一方、政党みらいは消費税減税に反対し、社会保険料の引き下げによって手取りを増やす政策を訴えました。

 

選挙の結果、与党は大勝したものの、参議院では野党が多数を占める状況が続いています。

与野党で共有される方向性と残る温度差

6月25日に開催された自民党の消費税に関する会議では、消費税の「実質ゼロ」案に対して異論が相次ぎ、党内の意見集約が難航していると報じられています。

 

これまでの与野党の公約を見ると、一部の政党を除き、消費税負担の軽減という方向性については、一定の共通認識が形成されつつあるように受け止められていました。しかし、自民党内では減税に慎重な意見も根強く、党内調整の難しさが浮き彫りになっています。

 

また、野党からは、国民会議における議論について、「十分な議論がなされていない」「内容が整理されていない」といった批判も出ています。与党内からも、「実質ゼロ」という表現が、公約で掲げた「税率ゼロ」と異なるのではないかとの指摘があります。

各論では幅広い調整が必要に

このように、消費税率引き下げという大きな方向性については、与野党間で一定の共通点が見られる一方、与党内や関係団体からは反対意見も出ています。今後、仮に税率引き下げの方針が維持されたとしても、具体的な制度設計をめぐっては、参議院の構成を踏まえ、野党の意見も考慮した調整が必要になると考えられます。

 

これまで消費税率引き下げに慎重だった自民党が、一定の負担軽減策を打ち出したことについては、野党側が主張してきた方向性が一定程度反映されたと見る向きもあります。各論ではさまざまな課題が残るものの、まずは総論としての合意形成を優先し、1%・実質ゼロ案で折り合うことを現実的な選択肢と考える意見もあるでしょう。

最大の焦点となる財源論

最大の論点として残るのが財源問題です。6月22日の衆院予算委員会において、高市早苗首相は食料品の消費税率引き下げに必要な財源について、「特例公債(赤字国債)に頼らないことを前提に、財源のあり方を検討し、結論を得る」と説明しています。

 

今回の原案では、財源論は今後の検討課題とされています。過去には、民主党政権下で「子ども手当」の創設を公約として掲げ、その財源として配偶者控除・扶養控除の廃止を打ち出したものの、配偶者控除廃止について税制調査会などから慎重論が示され、見直しを余儀なくされた経緯がありました。こうした事例は、政策実現にあたって、財源確保の具体策が重要な論点となることを示しているともいえます。

財源の具体像が今後のカギ

今後、議論がどのような方向に進むかはなお不透明ですが、財源の具体像が示されるまでは、制度設計をめぐる議論が長期化する可能性もあります。消費税率の引き下げという方向性に一定の理解が広がるなか、その実現可能性を左右するのは、持続可能な財源をどのように確保するのかという点にあるといえるでしょう。

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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