(※写真はイメージです/PIXTA)

フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス法)の施行から1年半余り。公正取引委員会は2026年6月10日、令和7年度における同法の運用状況を取りまとめ、公表した。それによると、違反被疑事件として新たに着手した案件は1,626件、勧告・指導などの措置が講じられた案件は1,552件に上る。違反行為の類型別件数(延べ2,727件)のうち約8割を占めたのは、「報酬の支払い」と「取引条件の明示」という、契約実務の基本ともいえる項目だった。フリーランスや副業人材の活用が広がるなか、企業と個人事業主との取引ルールは大きな転換点を迎えている。公取委の最新の運用状況から、企業が見直すべき実務を読み解く。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

企業が今すぐ見直すべき契約実務

今回の運用実績を見ると、違反の多くは悪質な取引というよりも、企業側の契約実務や事務手続きの不備によって生じていることが分かる。

 

そのため、まず見直したいのが、発注時の契約内容の明示である。

 

フリーランス法では、業務委託を行う際、業務内容、報酬額、支払期日などの取引条件を書面や電子メールなど、記録が残る方法で明示することが義務付けられている。

 

安部氏は、「法律上は、公正取引委員会規則で定められた事項を明示する必要がありますが、実務上まず押さえるべきなのは業務内容・報酬額・支払期日・検査完了日・知的財産権の取扱いなどです。契約書という形式にこだわる必要はありませんが、少なくともメールなど客観的な証拠が残る形で発注内容を記録する体制を整えることが重要です」と話す。

 

契約書を交わしていないことだけが問題なのではない。必要事項が記載されていなかったり、後から条件を変更したりすることも、違反につながる可能性がある。

見落としやすい「60日ルール」

企業が特に注意すべきなのが、報酬の支払いである。

 

フリーランス法では、原則として「給付を受領した日から60日以内」に報酬を支払わなければならない。

 

この「受領した日」という考え方が、多くの企業で誤解されやすいポイントだ。

 

安部氏は、「支払期日の起算点は『検査完了日』ではなく、『給付を受領した日』です。例えば、月初に納品を受けているにもかかわらず、『月末締め・翌々月払い』という従来の支払サイトをそのまま適用すると、60日を超えてしまうケースがあります」と説明する。

 

これまで一般的だった支払慣行が、新法では違法となる可能性もある。特に、検収期間が長くなりがちな制作業やシステム開発などでは、自社の支払サイクルが法令に適合しているかどうかを改めて確認する必要があるだろう。

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