(※写真はイメージです/PIXTA)

ワールドカップは、世界中の人々を熱狂させるスポーツの祭典である。しかし、その舞台は単なる勝敗を競う場所だけではない。選手にとっては、市場価値を高め、人生を変える巨大なビジネスイベントでもある。ひとつの活躍がスポンサー契約につながり、世界的な知名度が新たな事業機会を生む。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

世界的スターが直面する「所得税」と国際税務リスク

国際的に活動するアスリートにとって、最大の税務課題は、必ずしも相続税だけではない。

 

過去には、メッシ選手がスペインで肖像権収入をめぐる税務問題を抱えたことが報じられている。また、C・ロナウド選手についても、税務当局との和解が成立した経緯があるととされる。

 

グローバルに活躍する人々は、居住国、契約国、収益発生国が異なることも多く、所得税や法人税の取り扱いが複雑になる。

 

奥村税理士は、海外トップアスリートにとって、資産承継以上に日々の所得税管理の方が重要なテーマになると話す。
 

「自国外で活躍するメッシ選手やC・ロナウド選手のような外国人選手の場合、相続税対策よりも所得税対策の方がはるかに重要でしょう」

 

その理由は、選手としての年俸だけでなく、スポンサー契約や肖像権収入、ブランド事業など、さまざまな国から収入が発生するからだ。

 

「報酬の受け取りや資産管理は、国際金融に強い金融機関や専門家チームに任せるケースが一般的です。本業の報酬は、自国の銀行ではなく、欧米の信頼できる金融機関で管理・運用することが多いのです」(奥村税理士)

 

さらに、スポンサー契約やブランドビジネスなどの副収入については、別法人を設立して管理するケースも珍しくない。

 

「広告収入などは別会社を作り、税務申告も含めて専門の代理人に任せます。球団との契約や移籍交渉まで含め、複数の専門家がチームとして支えています。日本では本人が税務や資産管理に深く関与することも少なくありませんが、欧州のトップアスリートは、専門家に権限を委ねる傾向が強いですね」(奥村税理士)

 

また、EU圏内でも税制は国ごとに異なるため、競技ごとの専門家ネットワークが存在している。

 

「サッカー界には国際税務を専門とするプロが数多くいます。選手本人が税務知識を持つというより、専門家チームを信頼して任せる文化があります」(奥村税理士)

 

海外展開を進める日本企業のオーナー経営者にとっても、「自分ですべてを抱え込まず、専門家を活用する」という考え方は参考になるかもしれない。

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