現金より重要な「肖像権」と「ブランド価値」
超富裕層アスリートにとって、最大の資産は現金や不動産だけではない。
むしろ重要なのは、
・商標権
・スポンサー契約
・ブランドライセンス収入
・SNSによる影響力
といった無形資産と言える。
C・ロナウド選手は世界最大級のSNSフォロワー数を持ち、その発信力そのものが巨大な経済価値を生み出している。メッシも、長年のスポンサー契約やブランド価値によって、引退後も収益が続く可能性がある。
一方で、こうした無形資産は評価が難しく、承継方法も複雑だ。
『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か――税制が映し出すアメリカの真実』の著書があり、海外の税金の問題に詳しい奥村眞吾税理士(奥村会計事務所代表)は、「欧米では肖像権そのものが大きな財産として認識されている」と指摘する。
「肖像権は日本と異なり価値が高いですから、遺言や信託で整理しておかなければ、現役中に亡くなった場合、相続争いになる可能性があります」
例えば、誰が広告契約を引き継ぐのか、ブランドの使用権を誰が持つのかによって、将来得られる収益は大きく変わる。日本では肖像権が独立した財産として意識されることは多くないが、海外のスター選手にとっては、不動産や株式と並ぶ重要な資産の一つであるという。
企業経営においても、自社ブランドや知的財産、取引先との信頼関係といった「見えない資産」が企業価値を支えているケースは少なくない。超富裕層アスリートの事例は、無形資産をどう守り、次世代につなぐかという課題を象徴している。
超富裕層が活用する「法人化」という資産管理
一般論として、超富裕層は個人名義ではなく、法人や持株会社を通じて資産を管理するケースが多い。
例えば、
・ブランド権利を管理会社に集約する
・不動産や投資資産を別会社で保有する
といった方法で、リスクを分散しながら資産を管理している。
もちろん、メッシ選手やC・ロナウド選手本人が具体的にどのような仕組みを採用しているかは公表されていない。
しかし、奥村税理士は、超富裕層が法人を活用する最大の理由は税務面にあると説明する。
「第一に税金対策です。それ以外では、離婚や相続への備えという意味合いがあります。法人を活用することで、収益ごとに管理を分けたり、資産を集約したりしやすくなるため、長期的な資産防衛につながるという考え方です」
一方、日本では税制や制度上の制約もあり、海外ほど自由な設計ができるとは限らない。それでも、自社株や不動産、知的財産をどのような形で保有するかは、日本のオーナー経営者にとっても重要な経営課題といえるだろう。
