「デジタル管理」は「撮影するタイミング」に要注意
紙の領収書の保管が面倒な場合は、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」の要件を満たした会計ソフトやアプリを使った「デジタル管理」を併用するのがおすすめです。特に、「JIIMA認証」のあるアプリ等を使えば、スマートフォンで撮影するだけでデータとして保存できます。
ただし、撮影するタイミングにはルールがあり、基本は「受け取ってから7営業日以内」です(社内で経費精算ルールを整備していれば最大2ヵ月+7営業日まで認められます)。タクシーやエレベーター内などのスキマ時間に、受け取ったその日のうちに撮影するのが確実です。
要件を満たして保存すれば紙の原本は原則として廃棄できますが、廃棄の運用ルールをしっかり定め、慣れないうちは念のため紙と併用して段階的にデジタル化を進めることをおすすめします。
また、消費税のルールにも注意が必要です。2023年10月からスタートしたインボイス制度により、支払った消費税を差し引く「仕入税額控除」を受けるには、相手がインボイスを発行できる事業者であり、かつ「T」から始まる登録番号が記載されたインボイス(適格請求書)を保存しておく必要があります。
クレジットカード明細や通帳でお金を支払った事実は証明できて「経費」にはなっても、お店側がインボイス発行事業者でなければ消費税の控除対象にはならないケースがあります。ただし、3万円未満の公共交通機関や自動販売機での購入については、特例として帳簿への記載のみで認められます。
経費処理で絶対に避けるべき「2つのNG行為」
領収書がない場合であっても、絶対にやってはいけないNG行為を2つ紹介します。
1.領収書のコピーを証拠書類として使う
領収書の原本をなくしてしまい、コピーを提出するのは原則としてNGです。コピーは改ざんが容易であるため、原本としての信頼性が低くなります。ただし、前述の要件を満たしたアプリ等のスキャンデータは証拠書類として認められるため、混同しないようにしてください。
2.白紙の領収書に自分で金額を書き足す
お店から金額が空欄の領収書をもらい、自分で好きな金額を書き加える行為は、「私文書偽造」にあたる可能性があり、税務調査でも重加算税の対象となる極めて危険な行為です。お店側の親切であったとしても、リスクを避けるために絶対に断ってください。
経費の漏れを防いで資産を守る
税務署が確認したいのは、支払いの事実と事業との関係性です。領収書をもらい忘れても、詳細がわかるレシートや、出金伝票に裏付け資料をセットにすることで、合法的に経費として認められます。
インボイス制度の要件や絶対にやってはいけないNG行為を正しく理解し、経費の漏れを防いで会社の資産を防衛していきましょう。
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黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
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